GMとGlobalFoundries、半導体不足対応で協定締結：同種の提携、自動車業界で今後増加？（1/2 ページ）

GMとGlobalFoundriesは2023年2月、GFがGMの主要サプライヤー向けに半導体を製造するという協定を結んだ。自動車業界で半導体不足が長引く中、同様のパートナーシップが今後増加することが予測されている。

[Alan Patterson，EE Times]

　アナリストや半導体サプライヤーが米国EE Timesに語ったところによると、「自動車メーカーは今後数年間、半導体不足に直面すると予想されることから、General Motors（GM）とGlobalFoundriesが結んだようなパートナーシップが今後増えると思われる」という。

GMとGlobalFoundriesの“初の試み”

　GMとGlobalFoundriesは2023年2月、GlobalFoundriesがGMの主要サプライヤー向けに半導体を製造するという、“初の試み”となる協定を結んだ。クルマの電動化や自動運転などのトレンドにより、この10年で自動車の半導体搭載量が倍増すると予想されているにもかかわらず、車載用半導体の不足による自動車生産の制約が続いている。今回のパートナーシップは、こうした問題の解消に向けて締結された。

　GMとGlobalFoundriesの契約は、自動車メーカーや垂直統合型デバイスメーカー（IDM）、サブシステムメーカー、ディストリビューター、半導体サプライヤーを含む複雑なサプライチェーンの強化につながる。サプライチェーンの複雑さは、半導体不足の一因となっている。

GlobalFoundriesの自動車事業担当バイスプレジデントを務めるKamal Khouri氏 出所：GlobalFoundries

　GlobalFoundriesの自動車事業担当バイスプレジデントを務めるKamal Khouri氏はEE Timesに、「サプライチェーンの両端にある企業が直接関係を持てるようになったことは、非常に重要である。これは、自動車業界に対する当社のコミットメントを強固にするものだ」と語った。

　同パートナーシップで結ばれた複数年契約では、GMが年間に生産する自動車の台数とGlobalFoundriesが供給するウエハーの数に関する予測を示すことで、両社のリスクを軽減する。

　Khouri氏は、「これらの予測や測定は、かなりしやすい。GMと協力し、腰を据えて計画を立てることができる。これにより、われわれの業績予測および収益は大きく安定するだろう」と述べている。

　Khouri氏および経営コンサルタント会社であるMcKinseyの半導体事業担当グローバル共同リーダーを務めるOndrej Burkacky氏によると、半導体不足は2年程度続くと予想されるという。

　トヨタ自動車やFordなど世界中の自動車メーカーは、今もなお半導体不足の影響を受けている。

　Fordは2023年2月、直近の会計四半期に約20億米ドルの利益を失ったことを明らかにした。その主な要因は、半導体不足だという。

　Burkacky氏はEE Timesに対し、「半導体不足があと2年続くのではないかと懸念する声があちこちで挙がっている。以前は、自動車メーカーは供給を確保することに対してあまり関心を示していなかった。半導体はいつでも入手可能だと考えていたし、実際、半導体を確保することは簡単だった。今では、それを簡単なことだと言う人は多くはないはずだ」と語った。

　Burkacky氏は、McKinseyが自動車やエンジン企業の幹部を対象に実施した調査に言及し、「GMのような自動車メーカーがGlobalFoundriesのようなサプライヤーと直接パートナーシップを結ぶことが増えると予想される」と述べている。

　「今後は、SiC（炭化ケイ素）パワー半導体だけでなく、特定の戦略的分野でもこうした協力関係が増えていくというのが共通の見解だ」（同氏）

　Khouri氏によると、最近は主にマイクロコントローラーと電源管理ICが不足しているという。