Infineon Technologies(以下、Infineon)が、パワー半導体チップをプリント基板(PCB)内部に埋め込む技術「ENDOPACK」を発表した。同技術を採用した「ENDOPACK Cell」は、1200V耐圧のSiC MOSFETをPCB内部に直接埋め込んだもので、EVインバータ向けに提供する。搭載車両は2027年に量産を開始する予定だ。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2026年10月27日(ドイツ時間)、パワー半導体チップをプリント基板(PCB)内部に埋め込む技術「ENDOPACK」を発表した。同技術を採用した「ENDOPACK Cell」は、1200V耐圧のSiC MOSFETをPCB内部に直接埋め込んだもので、電気自動車(EV)向けトラクションインバーターの開発期間短縮や高効率化、高電力密度化を図る。同社によると、車載認定を取得した高耐圧チップ埋め込みソリューションとして業界初という。ENDOPACK Cellを搭載した車両は2027年に量産を開始する予定だ。
ENDOPACK Cellには、Infineonの第2世代1200V耐圧SiC MOSFET「Automotive Gen2p CoolSiC」を採用している。従来のパワーモジュールのように基板上に半導体チップを配置するのではなく、PCBの内部に直接埋め込む構造としたことで、寄生インダクタンスを従来構造の20nHから2nH未満に削減可能だという。Infineonは、これによってスイッチング損失を30%低減できるほか、中国の自動車試験サイクル「CLTC」の条件下で約99.5%の効率を実現するとしている。
Infineonによると、試作およびシミュレーションのデータでは、ピーク電力密度は最大200kW/Lに達するという。また、車両レベルでは航続距離を7%延長できる可能性があるとしている。
ENDOPACK Cellのもう1つの特徴は、設計の自由度だ。従来のパワーモジュールでは、モジュールの筐体形状によってチップの配置や構成が制約される。一方、ENDOPACK Cellでは電力要件や実装スペースに応じてチップの数や配置を変更できるとしている。
複数のセルを1枚のPCBに組み込むこともでき、車両プラットフォームごとの性能要件やシステム構成に合わせてパワーステージを設計できる。共通設計を異なる車種や次世代プラットフォームに展開することで、設計資産の再利用も容易になるという。
こうした設計の柔軟性に加え、標準化されたPCB設計プロセスや既存の製造インフラを活用できることから、従来のソリューションと比較して開発期間を最大3分の1に短縮できるという。また、設計変更のたびに製造プロセスを調整する必要がなく、異なる設計にも同じ生産ラインで対応できるとしている。
Infineonはこれまで、低耐圧領域でチップ埋め込み技術の量産実績を積み重ねてきた。ENDOPACKは、こうした技術を高耐圧パワーエレクトロニクス分野にも拡張するもので、今後はさまざまな耐圧クラスや形状、用途への展開を図る。
ENDOPACK Cellは既に量産対応が可能な状態で、同技術を搭載した車両は2027年に量産を開始する予定だとしている。
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