続けてマッキンゼーでグローバル資源/エネルギー/素材を担当する瓜生田義貴氏、デジタル/AI/ロボティクスを担当する工藤卓哉氏、先端産業/半導体を担当する土谷大氏が登壇。各人が業務の中で感じている所見や課題などを語った。
レポートの共同執筆者でもある瓜生田氏は「日本が成長するには、2つの物の見方の変化が重要だ」と述べる。1つ目が世界における日本の現状で、「日本人は日本を悲観的に見るが、海外から客観的な視線で見ると決して悪くない。中国と米国が台頭する中、戦うための武器がほとんどない国も多い。政府が掲げる成長戦略17分野には議論もあるが、それを持っていること自体が時代の転換の中で重要になってくる。まずはそこのマインドシフトが必要だ」という。
2つ目が課題解決の姿勢で、これまでは課題が生まれた場合、各産業の中で解決してきたが、これからは視点を広げ、業界をまたいで課題を解決することが重要だとする。「自分が担当するエネルギー領域でも、今後、発電能力の不足が懸念されている。解決のためにはデータセンターや家庭向け蓄電、将来的にはモビリティなど、違う業界と協力するシーンが多々出てくるだろう」(瓜生田氏)
工藤氏はフィジカルAIについて「勝っていくためには、きちんと構造化してアプローチする必要がある」とする。日本政府は視覚言語モデル(VLM)を構築してマルチモーダルモデル、視覚言語行動モデル(VLA)と発展するロードマップを用意しているが、工藤氏は「正直に言って、日本はVLM領域で完全に遅れている。勝機はVLAにある。フィジカルAIの学習データはロボットを動かさないと手に入らない。日本は産業ロボットで世界トップシェアを誇っているが、それは高品質なフィジカルAIデータを生成できる基盤を持っている、という見方もできる」と続ける。
また、フィジカルAIは安全性や即応性、安定性が求められる。こうしたエッジの推論の領域に、安全性や制御性で高い品質を誇る日本の産業全体が取り組むことも勝ち筋につながるとした。
土谷氏は「半導体に関しては日本に投資したい、という声も多く、追い風が吹いている状況だ」と述べる。その理由として、日本は素材や製造装置などに加え、きれいな水を使え、工業用水を自治体が正しく取り扱えるなど、インフラを含めた半導体のフルバリューチェーンを有する、世界でも希少な環境であることを挙げる。
半導体のステージが微細化から変わりつつあり、特に先端パッケージングや光電融合など、日本が培ってきた素材、光学技術が重要になってきていることも追い風になる。その一方で「これまで日本が半導体で後れを取っていたのは、グローバルを見ず内向きで競争をしていた結果、エコシステムの中枢がシリコンバレーや台湾、imecなど海外に移ったためだ。同じことを繰り返さないためにも、先端パッケージングや光電融合などの成長領域においてグローバルな拠点を作ること、その領域にダイナミックな投資を行うことが大事になる」と警鐘を鳴らした。
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