TDKが、厚さ150nmのメタオプティクスミラーを用いたスマートグラス向け網膜直接描画(DRP)ディスプレイの実証に成功したと発表した。
TDKは2026年10月2日、メタオプティクスミラーを用いたスマートグラス向け網膜直接描画(DRP)ディスプレイの実証に成功したと発表した。同日にメディア向け説明会を開催し、その詳細を解説した。
TDKはAIエコシステム向けビジネスを成長戦略の成長ドライバーに掲げる。中でもスマートグラス向け事業を重要領域に位置付け、2025年にアイトラッキング技術を提供する米「SoftEye」を買収。2026年1月にスマートグラス向けソリューションの新会社「TDK AIsight」を立ち上げるなど、事業拡大を進めている。
スマートグラスにはさまざまな方式があるが、現在、市場ではレンズ上のディスプレイ部に映像を描画する導波路ディスプレイ方式が一般的だ。しかし導波路ディスプレイの場合、視力によっては映像が見えづらい、対面者にも映像が見える、光干渉でディスプレイ部が虹模様に映るなどのデメリットがある。
DRP方式はレンズ上にミラーを配置し、網膜に直接映像を投影する方式で、視力に関わらず鮮明な映像認識が可能なほか、肉眼で見る風景と投影映像のどちらにもピントが合うという。また投影に必要な光量は1μW程度と低消費電力で、レーザーモジュールとMEMSミラー、レンズ上のミラーで構成できるシンプルさ、安価さも特徴とする。
網膜上に描画するために、TDKはこれまで分厚い曲面ミラーを用いてきたが、スタイリッシュ性の低さが課題とされてきた。そこで開発したのがメタオプティクスミラーだ。背面層、誘電体層、台形形状層の3層構造で、台形形状層の長さを場所によって変えることで、平坦なまま曲面ミラーと同様の反射性能を実現。厚さ150nm、透過率80%と、レンズに直接埋め込んで使える。
深紫外線(DUV)半導体リソグラフィで製造するため、量産しやすいことも特徴の1つだ。現時点ではサファイア基板を採用するが、二酸化ケイ素(SiO2)ガラス基板の採用や、製造方法の最適化によって透過率を数パーセント向上できる見込みだという。
TDKによると「メタオプティクスミラーを用いたスマートグラス向けDRPディスプレイの実証は、これが世界初」だという。これにより、TDKはモノカラーのDRP方式スマートグラスの要素技術開発を完了し、2026年末〜2027年頃にかけて製品化の準備に入る。すでにデモグラスも完成していて、2026年10月13〜16日開催の「CEATEC 2026」(幕張メッセ)でも展示を予定している。
フルカラー対応のDRP方式スマートグラスも開発中で、2027年3月頃にデモグラス完成、2027年度中に製品化準備開始の予定だという。TDKは「スマートグラスはまだ世に出たばかりで、さまざまな方式が検討されている状態だ。その他の方式、技術についても並行して開発を進める」とした。
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