AIサーバの急速な需要拡大を、パワー半導体の新たな成長機会として取り込む――。ロームが、AIサーバ向け電源市場への取り組みを加速している。
AIサーバの急速な需要拡大を、パワー半導体の新たな成長機会として取り込む――。ロームが、AIサーバ向け電源市場への取り組みを加速している。現在主流の50V系に加え、将来の800V級電源アーキテクチャまでを見据え、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、シリコン(Si)のパワーデバイスから制御ICまでを組み合わせて提案する。
「PCIM Europe 2026」(2026年6月9〜11日、ドイツ・ニュルンベルク)では、AIサーバ向け電源ソリューションを大きく打ち出した。現地で担当者に詳細を聞いた。
生成AIの普及によってGPUの消費電力が増大する中、AIサーバでは電源システムの大容量化、高効率化、高電力密度化が急速に進んでいる。従来の分散型サーバ電源は1電源ユニット(PSU)当たり3kW、1シェルフ当たり18kWだったが、AIサーバ向けのラック電源仕様「ORv3 HPR(High Power Rack)」では5.5kW/PSU、33kW/シェルフに増大。さらに次世代の「ORv3 HPR V2」では12kW/PSU、72kW/シェルフまで高まる。その先には、800V DCや±400V DCといった高電圧直流(HVDC)を活用する次世代電源アーキテクチャも見込まれている。
こうした大電力化に対し、ロームが強みとして打ち出すのが、SiC、GaN、Siの各種パワーデバイスに加え、ドライバーやコントローラーなどのLSIまでそろえる包括的な製品ポートフォリオだ。担当者は「ロームはGaNとSiC、シリコンを全て持っているだけでなく、制御用のLSIなども有していて、全部自社で完結する」と強調した。
ブースではこうした強みを生かす実例として、650V GaN SiP(System in Package)と600V Siスーパージャンクション(SJ)MOSFETを組み合わせた5kWトーテムポールPFCの評価キットを展示した。高周波スイッチングを担うファーストレグには650V GaN SiP、低周波側のスローレグには600V Si SJ MOSFETを採用。195〜277V AC入力、400V DC出力に対応し、最大出力は5kW。電力密度は108.2W/in3で、GaNを使う高周波側のスイッチング周波数は最大800kHz。変換効率のターゲットは99.0%としたものだ。GaNの高速スイッチング性能を生かしつつ、低周波側にはSi SJ MOSFETを使用、各デバイスの特性に応じた使い分けを示している。
ロームの実際の展開例が、村田製作所グループのMurata Power Solutionsが量産する5.5kW出力のAIサーバ用PSUだ。ロームの650V GaN HEMTがPFC(力率改善)回路やLLCコンバーターに採用されているほか、Si製品など他のローム製品も使われているという。
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