さらに先を見据えているのが、AIデータセンターの電源バスの高電圧化だ。ロームが展示した現在の構成では、230V ACを400V DCに変換した後、50V DCへ降圧してサーバシェルフに供給し、さらに12V、GPU/CPU向けの0.xVへと変換する。
一方、次世代構成では400V ACを800V DCまたは±400V DCへ変換し、高電圧のままITラックまで給電。ITラック側で50V DCへ降圧する構成を想定する。給電電圧を高めて電流を抑えることで、配電損失や配線の負担を低減し、AIサーバのさらなる大電力化に対応する。
なお担当者は「50VのDCが800V、400Vになると、多少ラインアップは変わってくるが、基本的には既存製品で対応できる」と説明。電力変換の各段で求められる特性は異なるため、SiC、GaN、Siを適材適所で使い分ける考えだ。
例えば、400V ACから800V DCへ変換する電源側ではSiCを中心的に採用する。ロームが展示した構成では、第3世代SiC SBDと第4世代SiC MOSFETなどを活用。約50kW出力のPFC段で99%、33kWの絶縁型DC-DCコンバーターで99.5%の変換効率をシミュレーションで示していた。
一方、800V DCから50V DCへ降圧するITラック側では、高効率化だけでなく電力密度も重要になる。ロームはここでSiCとGaNの2つの構成を比較した。SiC MOSFETを使った20kW級の構成では、電力密度を7.8kW/dm3と試算。これに対してGaN HEMTを使った構成では、GaNの高速スイッチング性能を生かして電力密度を15kW/dm3まで高められるとしている。これはSiC構成のほぼ2倍だ。
今回示した構成では、400V ACから800V DCへの変換など高電圧、大電力領域でSiCを活用する一方、800V DCから50V DCへの変換ではGaNによる高周波化で電力密度を高める。さらに低電圧領域ではSi MOSFETを活用するなど、それぞれの特性を生かして使い分ける。ロームにとってSiC、GaN、Siを全て持つことが、電源アーキテクチャの変化に対応する強みとなっている。
AIサーバ向けではこのほか、GPU周辺の低電圧/大電流領域に向けた「DrMOS」や、ホットスワップ向けに安全動作領域(SOA)を広げた100V耐圧Si MOSFETなども展示。Wide-SOA MOSFETは、AIサーバでホットスワップ時に発生する突入電流への耐量を高めるため、既存のSi MOSFETを調整した製品だという。
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