AIデータセンター向けに800Vから6Vへ直接変換する電源技術では、Navitas SemiconductorやTexas Instruments(TI)ら競合も開発を進めている。こうした中、ルネサスは電力変換システム全体を最適化する設計手法を強みとして打ち出す。
ルネサスのPower Products Groupで、Power Systems Architect Teamのディレクターを務めるMarco Ruggeri氏は「ルネサスの大きな強みは、高効率/高電力密度の電力変換をシステムレベルで実現するアプローチにある。今回のアーキテクチャでは、共振型LLC DCX動作、高周波スイッチングに適したGaN技術、マトリックス/プレーナ構造の磁気部品を組み合わせている」と説明する。
さらにRuggeri氏は「差別化のポイントは単一の部品ではなく、回路方式、パワーデバイス、ゲート駆動、制御、磁気部品を一体として最適化し、AIデータセンターの電力供給に対応している点にある」とも述べている。
また、同システムには、ルネサスの650V耐圧GaNパワーデバイス「TP65H020G4PLSGBD」を採用している(関連記事:EDN Japan「ルネサス、両面冷却パッケージの650V GaN発表」)。同製品のオン抵抗は20mΩで、8×8mmの小型PQFNパッケージを採用する。ルネサスによると、650V耐圧GaNデバイスとして業界初の両面冷却(DSC:Dual-Side Cooling)に対応した製品だという。Ruggeri氏は同製品について「800V高電圧直流(HVDC)配電を採用するAIデータセンターの高密度電力変換において、世界トップクラスの性能を提供する」と説明している。
さらなる効率改善に向けて、最適化の余地が大きいのが磁気部品だ。ホワイトペーパーに示した解析モデルでは、トランスの銅損とシールド損失がコンバーター全体の損失の約65%を占めると推定されており、その低減が効率改善の重要なポイントになる。
Ruggeri氏は「主な課題は大電流/低電圧経路と磁気部品に集中している。さらなる改善には、小型化を維持しながらトランスの銅損やシールド損失を低減し、効果的な熱管理と信頼性の高い電流分担を実現する必要がある。このような電力レベルでは、プリント配線板(PCB)やバスバーの抵抗、配線/接続部、コネクター、局所的な発熱もますます重要になる」と説明する。
さらに、Ruggeri氏は「電磁干渉(EMI)、保護機能、製造性、長期信頼性についても、実際のAI演算システムの動作条件を想定したハードウェアによる検証が必要だ。これらは単に半導体のスイッチング損失を低減するだけでは解決できず、システム全体の最適化が求められる課題だ」とも述べている。
ルネサスは、主要なAIデータセンター向けメーカーへのサンプル提供を行うとともに、同プラットフォームの評価を進めている。なお、評価プラットフォームの一般提供時期については明らかにしていない。
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