燃料電池メーカーは、市場を立ち上げようとして失敗を繰り返している。しかし、環境関連市場を専門とする市場調査会社である米Pike Research社が最近発表したレポートは、携帯型燃料電池の世界市場がこれから急成長すると予測している。2009年の世界売上高はわずか1億8500万米ドルだったが、これが2016年までに23億米ドル規模に成長するという。
このレポートは、燃料電池がクリーンで信頼に足り、コスト効率の良い電力供給源として浮上していくだろうと述べている。適用分野としては、家電製品や無線通信機器、物流管理など広い分野に向けた携帯型機器を挙げている。
同社のマネージング・ディレクタを務めるClint Wheelock氏は、「今後数年間にわたって、いくつものニッチな分野で燃料電池の採用が進み、市場が成長するだろう。各機器メーカーは、燃料電池が携帯型機器向け電源として魅力的であると認識し始めている。既存の2次電池や小型発電機などを置き換えるものと認識しているのだ。
同氏はさらに、政府からの資金援助のほか、軍事機器や産業機器向けの受注によって、携帯型燃料電池の商業化が大きく進んでいることを付け加えている。
Pike Research社は、2016年までに市場で主流となる規模は500Wから2kWまでの燃料電池だと予測する。この分野はガソリンやディーゼル発電機の代替となり、船舶、戦闘支援システム、補助電源装置で使われている。次に大きくなるのは、100W〜500Wの燃料電池だろうとしている。この分野には、無線通信機器の充電装置、電動工具、無人車両といった用途がある。
「Fuel Cells for Portable Power Applications(携帯型機器のための燃料電池)」と題したPike Research社のレポートには、携帯型燃料電池の新興市場に関する、応用面を重視した分析が載っている。このレポートでは、主要な用途を1W〜20W、20W〜100W、100W〜500W、1kW〜2kW、2kW〜7kWの5種類に分け、具体的な応用分野に注目し、市場機会を分析している。また、同レポートは業界の主要な企業の紹介と、2017年までの世界市場の市況予測も掲載している。
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