ニデックは2026年3月3日、不適切会計を巡る第三者委員会の調査報告書を公表した。報告書では、創業者である永守重信氏について「会計不正を指示、主導した事実は発見されなかった」とする一方で「一部の会計不正を容認したとの評価は免れない。最も責めを負うべきなのは、永守氏であると言わざるを得ない」と結論づけている。
ニデックは2026年3月3日、不適切会計を巡る第三者委員会の調査報告書を公表した。報告書では、創業者である永守重信氏について「会計不正を指示、主導した事実は発見されなかった」とする一方で「一部の会計不正を容認したとの評価は免れない。最も責めを負うべきなのは、永守氏であると言わざるを得ない」と結論づけている。
発見された会計不正はいずれも、業績目標、特に営業利益目標の達成に向けた強すぎるプレッシャーを背景に行われたものだった。
第三者調査委員会は2025年9月からニデックグループにおける不適切な会計処理の疑義に関する調査を実施。調査は現在も継続中だが、これまでの調査で第三者委員会として原因分析を行い「提言をするだけの事実関係の解明はできた」と判断し、今回の公表に至ったとしている。
調査委員会によるとこれまでの調査で発覚した会計不正の内容は下記の一部例のように、複数拠点で多岐に及んでいたという。正確な件数の算出は難しいものの、不正はニデックグループの全6事業セグメントで発覚。多岐にわたる拠点で多数の会計不正を発見しているという。
調査の結果、今回の報告書提出時点までに発見された不正および誤謬 (ごびゅう)による2025年度第1四半期末の連結財務諸表における純資産への負の影響額は、約1397億円としている。
発見された会計不正はいずれも、業績目標、特に営業利益目標の達成に向けた強すぎるプレッシャーを背景に行われたものだった。
報告書では「永守氏の強力なリーダーシップの下、ニデックグループにおいては、長年にわたり『赤字は悪』であるとの考え方が徹底され、業績目標が必達のものとして捉えられていた」と説明。そもそも、ニデックグループの業績目標は、長年にわたり、永守氏によるトップダウンで決定され、各事業部門や子会社に割り当てられていたが、それは、投資家目線でどの程度の成長が求められているかといった観点から決められた目標であり、「事業部門や子会社の実力を超えるものであった」としている。
その上で、永守氏は、事業部門や子会社を所管するニデック本社の執行役員やCFO(最高財務責任者)に対し、業績目標を達成するよう強いプレッシャーをかけていた。そして、ニデック本社の執行役員らに対する業績プレッシャーは、そのまま事業部門や子会社の幹部に対する業績プレッシャーへとつながっていったという。
調査委員会が把握した事例の中には、業績目標に達していない中、ニデック本社の執行役員が、連日会議を開いて、子会社の幹部に対し、営業利益目標を達成していないことを責め立て、徹夜をしてでも営業利益を捻出するよう指示するといった、「無理難題ともいえる指示」を繰り返す例もあったという。
このように強い業績プレッシャーがかけられる中、例えば、売り上げの早期計上、棚卸資産の評価損や固定資産の減損の回避、資産の評価方法の変更、コストの資産化といった会計処理によって業績目標を達成しようとする事業部門、子会社は少なくなく、事業部門および子会社のCFOや経理部門はこれら会計処理を正当化する理由を考え出し、それを会計監査人に説明して、その了承を得ていたものの「中には、会計監査人に対して事実と異なる説明をする例や、不都合な事実についてあえて説明を行わない例もあった」という。
報告書では「もとより、資産の評価方法や固定資産の減損判断に代表されるように、会計処理の在り方には一定の幅があり、これらの会計処理の全てが会計基準に照らして許容されないわけではない、としつつ「委員会の調査の結果、中には会計処理として許容される幅を逸脱した処理が行われている例もあることが判明した」と説明している。
また、ニデック本社のCFOや経理部門が、ニデックグループの連結での業績目標達成のために、会計不正を主導する例もあったと指摘。この背景として、ニデック本社のCFOや経理部門も、事実上、業績目標達成の責任を負わされていて、業績目標が未達の場合には、永守氏から厳しく責め立てられていたという事情の存在を挙げている。
また、ニデックは創業メンバーで会長の小部博志氏らが同日付で辞任することも発表した。永守氏は2025年12月、代表取締役グローバルグループ代表を辞任し名誉会長に就任。2026年2月26日にはその名誉会長も辞任した。
同委員会はこれまで関係資料の精査、ヒアリング調査、フォレンジック調査等の調査を実施。また、役職員に対するアンケート調査を実施したほか、役職員を対象とした特設ホットラインを設置した。ヒアリング対象者は319人(退職者を含む)で、延べ536回のヒアリングを実施した。フォレンジック調査の対象者は113人(退職者を含む)。永守氏へのヒアリングも4〜5回程度、毎回2〜3時間実施したとしている。
調査対象の会計年度は、2020年度から2025年度第1四半期だが、原因分析等のために必要と判断した場合には、更にさかのぼった調査を実施している。
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