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富士通がマイコン・アナログ事業をスパンションに売却、GaNデバイスは含まずビジネスニュース 事業買収

富士通は、半導体子会社である富士通セミコンダクター(富士通セミコン)のマイコン・アナログ事業を、フラッシュメモリを主力とするSpansion(スパンション)に約173億円で売却する。ただし、次世代パワー半導体として開発を進めているGaNデバイスは、売却対象に含まれていない。

» 2013年04月30日 16時51分 公開
[朴尚洙,MONOist]
 富士通がマイコン・アナログ事業をスパンションに売却

 富士通は2013年4月30日、半導体子会社である富士通セミコンダクター(富士通セミコン)のマイコン・アナログ事業を、フラッシュメモリを主力とするSpansion(スパンション)に売却することで合意したと発表した。売却金額は、マイコン・アナログ事業が1億1000万米ドル(約109億円)、製品在庫などの関連する棚卸資産が6500万米ドル(約64億円)で、合計1億7500万米ドル(約173億円)。同事業に携わる従業員約1000人が、スパンションに移籍する。事業譲渡は、2013年度第2四半期(7〜9月期)に完了する予定。

 富士通は同年2月に、パナソニックと富士通セミコンのシステムLSI事業を統合する方針を表明するとともに、マイコン・アナログ事業についても、「顧客への安定的な供給とビジネスの発展を目指し、今後あらゆる可能性を検討していく」としていた(関連記事:「半導体事業再編は苦渋の決断」、富士通セミコンの従業員数は2000人以下へ)。

 スパンションは、富士通とAMDのNOR型フラッシュメモリ事業を統合して2003年に発足。競合との価格競争やリーマンショックによる景気悪化によって、2009年3月に連邦破産法11条の適用を申請し経営破たんした。しかし現在は、工場売却や組み込み機器向けに特化した事業展開などにより再建している(関連記事:Spansionが組み込み向けフラッシュ事業を加速、2年間で顧客数を倍増へ)。

会津若松地区の工場は売却対象外

 今回のマイコン・アナログ事業の売却は以下のようなプロセスで進められる。まず、富士通セミコンの国内向けマイコン・アナログ事業を、富士通セミコンの子会社である富士通VLSIと富士通マイクロソリューションズの国内向けマイコン・アナログ事業とともに富士通に吸収分割する。富士通は、それらの国内向けマイコン・アナログ事業を、富士通セミコンが設立する新会社に吸収分割によって承継させる。その上で、スパンションの日本法人である日本スパンションに新会社の全株式を譲渡する。

 国内向けのマイコン・アナログ製品の販売は、富士通エレクトロニクスが、スパンションの販売代理店として従来と同様のサポートを続ける。

 一方、富士通セミコンの海外向けマイコン・アナログ事業と、富士通セミコンが持つマイコン・アナログ事業関連の知的財産と製品在庫は、スパンションに直接譲渡する。

富士通セミコンのマイコン・アナログ事業の売却プロセス 富士通セミコンのマイコン・アナログ事業の売却プロセス(クリックで拡大) 出典:富士通

 なお、マイコン・アナログ事業の半導体製品を製造している、会津若松工場や富士通セミコンダクターテクノロジといった会津若松地区の製造拠点は、スパンションに売却しない。富士通セミコンがスパンションからの委託を受ける形で、同地区での半導体製品の製造を引き続き担当する。

GaNデバイスは売却せず

 富士通セミコンの2012年度(2013年3月期)の売上高は2896億円。このうち、売却の対象なったマイコン・アナログ事業の売上高規模は約550億円で、約19%を占める。

 最近では汎用マイコンについて、独自コアを搭載する「FRファミリ」から、ARMのマイコン向けプロセッサコア「Cortex-Mシリーズ」を搭載する「FMファミリ」への移行を進めている(関連記事:ARM Cortex-M3搭載マイコン、38品種を5月から投入)。

 なお、次世代パワー半導体として開発を進めているGaNデバイスは、売却対象に含まれていない(関連記事:GaN系HEMTデバイスの量産試作ウェーハ、富士通研究所が公開)。

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