TSMCは、AI顧客からの急増する需要に追い付くために、2026年の設備投資予算を約640億米ドルに増額し、現在米国で進めている既存投資に1000億米ドルを追加するという。
TSMCは2026年7月16日、NVIDIAやAMDなどの半導体設計メーカーからの需要を受け、2026年の設備投資予算を再び増額し、600億〜640億米ドル規模に引き上げることを発表した。世界最大の半導体ファウンドリーである同社は、米国への1000億米ドルの追加投資も行うとしている。これによって、アリゾナ州の1650億米ドル規模のプロジェクトへの投資が増額され、単一の米国外企業による直接投資としては米国史上最大規模となる。TSMCは、この追加資金を利用し、最大で4つの半導体工場を建設する予定だとしているが、そのタイムフレームについては明らかにしていない。
TSMCのCEOであるC.C. Wei氏は、2026年第2四半期の業績発表を行うカンファレンスコールの中で「この投資は、2nm世代以降の技術を適用する複数の半導体ロジックウエハー工場や、先進パッケージング工場を建設するためのものだ。これにより、米国半導体エコシステムの開発をさらに促進し、サプライチェーンの強化や、米国のハイテク分野の高賃金の雇用拡大などを支援できると確信している」と述べる。
しかし同社は、いつ頃をめどに需要に追い付けるようになるのかという点についてはまだ明らかにしていない。
Wei氏は、Deutsche Bank(ドイツ銀行)のテクノロジーハードウェア部門責任者であるRobert Sanders氏が「3nm以降の微細化/高密度化チップに対する需要は、TSMCの供給能力を約50%上回っている」と指摘したことに対し、「非常に大きいギャップが存在する」とだけ述べ、詳細なコメントを拒否した。
TSMCが需要に対応できていないことを受け、「Samsung Electronics(以下、Samsung)やIntelのような競合他社は、その差分を埋められるのだろうか」という疑問が生じている。
米国の銀行持株会社であるJPMorganでマネージングディレクターを務めるGokul Hariharan氏は、カンファレンスコールの中で「TSMCにとって、長期間にわたる供給不足は都合が悪い」と述べている。
TSMCは「需要に追い付くにはどれくらいの期間を要するのか」というHariharan氏の質問に対し、回答を避けた。
Wei氏は「今後2029〜2030年にかけて、非常に力強い需要が見込まれる。一時的な問題がいくつか生じる可能性については排除しないが、その間に需要の低迷が起こるかどうかは不明だ」と述べている。同氏は「TSMCの生産能力を拡大すべく、現在AIデータセンターを構築している、顧客企業のその先の動きを注視しているところだ」と述べる。
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