2013年度第1四半期の決算は、半導体売上高が前年同期比12.7%増の1896億円、営業利益が同274億円改善の98億円、経常利益が同261億円改善の85億円、四半期純損失が同168億円改善の40億円となった。四半期純損益が赤字になっているのは、ルネサス モバイルの事業撤退のための特別損失87億円によるものだ。
2012年度第4四半期に続き営業黒字を確保したものの、「一時的な費用削減と円安の効果によるもので、黒字基調を定着させられたとは言えない。さらなるコスト削減が必要」(鶴丸氏)だという。
半導体売上高のうち、主要3事業の売上高は、マイコンが前年同期比12.7%増の856億円、アナログ&パワー半導体(A&P)が同19.3%増の653億円、SoC(System on Chip)が同7.2%増の368億円となった。各事業とも自動車向けが堅調。A&Pは、中小型パネル向けドライバICがけん引した。
SoCについては、前年同期比では伸びているものの、前四半期比では5.7%の減少となっている。これは、同社が「アミューズメント向けSoC」と呼ぶ、任天堂のゲーム機「Wii U」からの受注の減速が大きな原因になっている。Wii Uの2013年度第1四半期の販売台数は16万台で、2013年度の販売目標である900万台と比べて極めて低調だった。
2013年度第2四半期の業績予想は、半導体売上高が2004億円、営業利益が42億円、経常損益がブレイクイーブン、四半期純損失が360億円となっている。四半期純損益が第1四半期をさらに上回る赤字になっているのは、3千数百人規模の早期退職優遇制度などによる特別損失320億円が大きな要因となっている。
半導体売上高の増加は、マイコンが前四半期比で1けた%前半、A&Pが同1けた%半ば、SoCが同10%台半ば伸長することによる。特に、SoCはアミューズメント向けSoCの需要増が増収の最大の要因になるとしており、Wii Uの出荷が2013年度第2四半期にどれだけばん回するかに注目が集まりそうだ。
なお、ルネサスは、今期から業績予想の開示を、次の四半期のみ行う方針に改めた。これは、「半導体業界は、事業環境が短期間に大きく変化するという特徴があり、信頼性の高い通期業績を的確に予想することが困難。このため、海外の多くの同業他社が採用している四半期ごとの業績予想に変更した」(鶴丸氏)という。
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