ルネサス エレクトロニクスの自動車向け事業を統括する執行役員常務の大村隆司氏は、2016年1月13〜15日に開催されている「国際カーエレクトロニクス技術展」でインタビューに応じ、2020年に世界車載半導体シェアでNXP Semiconductorsを抜き、首位に躍り出る見込みであると明かした。
「2020年には、(世界車載半導体シェア首位が)再び、ひっくり返るはずだ」。
ルネサス エレクトロニクスの自動車向け事業を統括する執行役員常務の大村隆司氏は、自社の車載向け最新ソリューションを展示した「国際カーエレクトロニクス技術展」(会期:2016年1月13〜15日/会場:東京ビッグサイト)で、こう述べた。
NECエレクトロニクス、ルネサステクノロジが合併して発足した2010年以来、ルネサス エレクトロニクスは車載半導体シェアで世界首位を維持してきた。2014年の世界シェアは10〜12%程度とされる*)。しかし、2015年12月に車載半導体世界シェア(2014年実績)6〜7%で5位のNXP Semiconductorsが、同7〜8%で4位のFreescale Semiconductorを買収。それにより、新生NXPがシェア13〜14%に達し、ルネサスは初めてシェア2位に転落した。
*)関連記事:2014年 車載半導体シェア、ルネサスが首位を維持
NXPとルネサスのシェアの差は、3ポイント前後とみられるが、大村氏は向こう4年でその差を詰め、追い抜く見込みだと語ったのだ。
その根拠として大村氏は、「2011年3月の東日本大震災の影響*)で、デザインインは減ったが、2013年からは回復に転じ、2014年、2015年は絶好調だった」と近年のデザインイン獲得数が好調な点を挙げた。一般に、車載半導体は、デザインインから4〜5年後に、実際に自動車に搭載され、売り上げ計上できるようになるとされる。「2016〜17年は、震災影響のあった2011〜12年の案件が売り上げとなる時期で、シェアはいったん、縮む。しかし、2014〜15年の案件が売り上げとなる2020年には、再び、ひっくり返るはずだ」(大村氏)。
*)2011年3月11日に車載半導体の主力前工程拠点だった那珂工場(茨城県ひたちなか市)が被災。約3カ月生産が停止し、ルネサスが高いシェアを持っていた自動車業界などで完成品の生産に影響。その結果、ルネサス以外の半導体メーカーからの調達を進める動きが広がったとされる。
「絶好調」と言い切るほどデザインインが伸びている製品としては、マイコン、SoC、アナログ/パワーと主要な車載半導体製品全てを挙げた。
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