自動運転技術への関心は、日増しに高まっている。だが、“技術的に可能なこと”が、“本当に必要なこと”とは限らない。
現実に向き合おう。自動運転車を取り巻くブームはまったく下火にならず、むしろ加熱している。
自動運転車において、より合理的で漸進的なアプローチについて話されることは少ない。自動車メーカーや技術サプライヤーはさらに積極的になり、ほぼ毎日のように取り組みを加速している。
大手チップベンダーからほとんど無名の新興企業まで、あらゆる企業が、「自動運転車の時流に乗る」という一見またとない機会を逃したくないようだ。
「その日をつかめ(Carpe diem)」。まったくその通りだ。
2016年6月、ハンガリー ブタペストに拠点を置くAdasWorksの設立者兼CEOであるLaszlo Kishonti氏と話す機会があった。Kishonti氏によると、同社はGPU、FPGA、組み込みプロセッサなどあらゆるプロセッサで動作する「完全な自動運転車用ソフトウェア」を開発したという。同氏は「われわれはプロセッサにとらわれない」と述べた。
Kishonti氏は、2016年夏の終わりに米国シリコンバレーにオフィスを開設する予定でカリフォルニア州を訪れていた。同氏によると、AdasWorksの研究開発チームはブタペストで業務を続ける一方、シリコンバレーのオフィスでは、事業開発の他、米国の道路を走行する自動運転車向けのソフトウェアのテストとサポートを行う。
Kishonti氏によると、AdasWorksは完全な自動運転モードで走る車を少なくとも2〜3台用いるという。
2015年、AdasWorksは、Day One Capital Fund Management、Inventure Oy and Robert Bosch Venture Capitalなどの投資会社によるシードファンディングを通じて、250万米ドルを調達した。Kishonti氏によると、AdasWorksは同じ投資会社からのシリーズAラウンドの拡張の一環として、ここ数カ月で資金を1000万米ドルまで増やしたという。同氏は「シリーズBラウンドは2016年中に順当に行われる予定だ」と述べた。
自動運転車がもたらす可能性に資金が集まってくるからこそ、AdasWorksはシリコンバレーに進出してビジネス機会を活用できているのだろう。
NVIDIAは、スーパーコンピュータを自動運転車に組み込むことで、完全自動運転車で先行している。同社は、自動運転車向けにディープラーニングの演算が可能なシステムを発表した。NVIDIAは、“ドライビング体験を変える、世界で最も高度な自動運転車向けプラットフォーム”のサプライヤーとして自社をリブランドした。同社はその評判を大いに利用することにも成功した。
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