順調に売上高を伸ばすスイスu-blox。成長を後押しするのはIoT(モノのインターネット)と自動車だ。IoT向けでは、標準化が最終段階にあるセルラーIoT規格NB(Narrow Band)-IoT対応モジュールを「世界で初めて」(同社)発表するなど、積極的に製品を展開している。
スイスのu-blox(ユーブロックス)は、測位とタイミング、セルラー、近距離無線の3つのコア技術を手掛けるメーカーだ。2015年会計年度の売上高は3億3830万スイスフラン(約345億円)で、利益は1億5500万スイスフラン(約158億1000万円)だった。売上高は2011年から堅調に伸びていて、2015年度の売上高は2014年度に比べて25.3%の増加となっている。
けん引力となっているのがIoT(モノのインターネット)と自動車向けのモジュールだ。同社がターゲットとする自動車、産業機器、民生機器の3つについて、u-blox CEO(最高経営責任者)のThomas Seiler氏は、「これらの市場は、IoT(モノのインターネット)とモビリティという2つの要素によってけん引されている」と述べる。u-bloxは、IoTと自動車に向けた製品を開発すべく、売上高の18〜19%を研究開発に投資してきた。
IoTでは、エッジ端末からゲートウェイを介してクラウドにデータがアップされるまでのところを、u-bloxの製品はカバーできる。
注目したいのは上の図の左端にあるNB(Narrow-Band)-IoTだ。NB-IoTは、3GPPが策定を進めているセルラーIoTの規格である。上りの通信速度が最大62kビット/秒(kbps)、帯域幅は200kHzに制限されていて、低消費電力で通信できることが特長の1つである。u-bloxは2016年6月27日(スイス時間)、NB-IoTに準拠した無線モジュール「SARA-N2」を発表した。NB-IoTに対応した無線モジュールは「世界初」(同社)だという。
SARA-N2は、スマートビルディングやスマートシティー、スマートメーター、白物家電などの用途に向けるもので、シングルセルの一次電池で10〜20年の動作が可能だとしている。セルラー環境において、1セル当たり最大15万台のデバイスを接続できる。さらに、リンクバジェットをGPRSよりも20dB向上させているので、地下や屋内など電波を受信しにくい環境でも性能が低下しにくい。SARA-N2のサンプル出荷は2016年第4四半期、量産出荷は2017年前半に開始される予定だ。
セルラーIoTとしてNB-IoTの他にもLTE Cat-Mなどがあるが、u-bloxはそれらも視野に入れ、低データレート向けの無線モジュールを強化していく。
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