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ポスト・スマホカメラの世界 〜 5Gで花開くセンサー市場&イメージング市場戦略IHSアナリスト「未来展望」(5)(1/4 ページ)

今回は、センサー、特にカメラ、イメージング市場の展望を取り上げる。カメラ市場は、デジタルスチルカメラなどを押しのけ、スマートフォン中心の市場となった。しかし、そのスマートフォンも成長が鈍化しており、成長の期待は車載カメラと産業用カメラへと移っていくだろう。

» 2017年09月27日 11時30分 公開

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はじめに

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 デジタルスチルカメラ(DSC)市場はリーマンショック直後より縮小し始め、スマートフォンのカメラ機能に市場を奪われた。当のスマートフォンも今年には年間出荷台数が20億台を超え安定した巨大市場となったが、成長率は鈍化しており市場のピークアウトも遠い将来ではないだろう。カメラ市場を牽引してきたB2C(Business to Consumer)のアプリケーションには限界が露出しており、カメラ市場は大きな転換点を迎えつつあるとIHS Markitでは見ている。

 カメラ市場の継続的な成長には新しい起爆剤が待望されているが、近年、そこにB2B(Business to Business)市場という新たな成長シナリオが見いだされて、さまざまなアプローチが始まっている。

 現在のB2B市場は規模こそ小さいが、潜在する成長余地は大きく、今後は成長加速も期待できるだろう。

 例えば、自動車へのADAS(先進運転支援システム)やカメラ導入のスピードは加速の一途をたどっている。活発になると予想されるB2B向けのカメラアプリケーションでも車載カメラ市場が筆頭になる可能性が高い。一方、車載カメラの記録的な成長の陰で、別のカメラ市場が産声を上げている。それは産業用カメラ分野である。

 近年、IHS Markitでは車載カメラに加え、産業用カメラにも注目し市場調査を行っている。

 これまでも産業用カメラでは監視カメラやFA用カメラなどの断片的な市場はあった。それがカメラ、イメージング、5G(第5世代移動通信)ネットワーク、コンピューティングなどの包括的な技術発展のおかげでさまざまなロボットとFAマシンが開発され、産業用カメラは新しい時代に突入すると予想される。IHS Markitでは、新たにマシンビジョン、ドローンカメラ、マルチスペクトルカメラという3つの新・産業用カメラ市場の調査に着手しており、これらの市場ポテンシャルが徐々に明らかになってきた。

車載カメラが普及期に突入

 IHS Markitでは、2016年の車載カメラは5190万台の市場規模であったと見ている。

車載カメラは、世界的に本格的な普及期に入っており、視界補助(リアビュー)カメラと画像認識(ADAS)カメラの双方で期待が持たれている。

 視界補助カメラでは自動駐車機能に人気が出始め、直近はこの分野での登用がトレンドとなっている。

 画像認識カメラの普及に関しては、高額な価格がネックとなり視界補助に比べてスピードは緩いものの、ハイエンドとミッドレンジクラスでは搭載が始まった。

 しかし、双方を合わせた車載カメラモジュールは、2022年には1億5000万台市場に成長するだろう(2016〜2022年における年平均成長率[CAGR]は18.8%と予測)。また、将来は自動車の安全や制御、情報収集に至るさまざまな期待がカメラの搭載に拍車を掛け、携帯電話機に次ぐカメラ応用市場に成長するとIHS Markitでは見ている。

ADAS用車載センサーモジュール出荷予測 出典:IHS Markit

 この市場成長ペースは過去に起こった携帯電話機へのカメラ機能搭載ペースと比較しても決して弱いものではない。車載カメラ投入率(車体台数とカメラ台数の単純比較)の中期予測では2017年には60%に、2020年には100%に達すると見られる。このペースで普及が進むと2021年には携帯電話機のカメラ普及率を超えるだろう。

 日系メーカーは市場の黎明(れいめい)期より車載カメラモジュールの開発を進めてきたが、画像認識カメラではなく、視界補助カメラが中心であった。一方、画像認識カメラについては法整備が進んでいる欧州メーカーが中心となって開発を進めている。もし、欧州メーカーがこのまま画像認識カメラで中心的なポジションに就いて業界をリードすると、日系メーカーにとっては将来のリスクとなるだろう。

 同時に、画像認識カメラ産業では、Valeo、Continental、Boschなどが中国、台湾、韓国のレンズメーカーとの協力関係を結んで製品を手掛けるサプライチェーンを構築している。とりわけ中国浙江省寧波に本社を持つSunny Optical(サニーオプティカル)は上記メーカーの他、Delphi、Magna、TRW、Mobileyeなども加えた大半のティア1企業へもレンズを供給しており、筆頭サプライヤーになっている。

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