香港では、アジア最大規模のコンシューマーエレクトロニクスの見本市「香港エレクトロニクス・フェア(春)」と「International ICT Expo」が開催中だ。日本国内では報道が少ない展示会だが、世界中のバイヤーが注目する大規模な展示会である。
香港では2018年4月13〜16日にかけて、香港貿易発展局が主催するコンシューマーエレクトロニクスの大規模な見本市「香港エレクトロニクス・フェア(春)」と「International ICT Expo」が開催されている。今回は、民生機器メーカーや技術系スタートアップ企業など、24の国と地域から3500社に上る出展社が集結した。
日本国内ではそれほど報道されていない見本市だが、両展示会には、他の展示会とは異なる、“香港ならではの特長”がある。参加者たちが、「香港でのビジネス展開を考えているわけではない」という点だ。展示会に出展する企業は、通常、開催国での市場参入や市場拡大を目的としている。だが、香港エレクトロニクス・フェアとInternational ICT Expoでは、昔からビジネスの中継地点としての役割を担ってきた香港の歴史的背景があり、「アジア、そして世界へとビジネスを広げていくこと」を前提にした出展社が多い。香港貿易発展局の東京事務所でマーケティングアシスタント プロジェクトチームリーダーの桑田靖章氏は、香港から自然に世界へとビジネスがつながっていくような、「ワンストップの展示会」として、両展示会が認識されていると話す。
2つの見本市には、世界各国からバイヤーが集まってくるが、日本からも、香港エレクトロニクス・フェア(春)は数百人、秋に開催される「香港エレクトロニクス・フェア(秋)」には約1000人のバイヤーが訪れる。こうしたバイヤーの目的は、もちろん、見本市で展示されている製品を日本で販売するために買い付けることだが、もう1つ、ファブレスのメーカーが、設計や製造の委託先、つまりEMS(電子機器設計、生産受託サービス)を探す場合もあるという。
桑田氏は、特に日本のエレクトロニクス業界の中小企業にとっては、2通りの利点があるのではないかと話す。1つは、下請け事業の他に、自社で完成品を作ることを考えている場合、組み立て・製造を委託するパートナーを見つけやすいこと。第二創業を考えるには良い機会になるのではないかと桑田氏は述べる。「定期的に何度も同見本市を訪れている方によれば、実は、よくよく話を聞くと日本の大手メーカーの製品を受託製造している、という企業に出くわすこともあるそうだ」(桑田氏)。最初からそのような企業を見つけるのは難しいかもしれないが、“掘り出しもの”のようなEMS企業に出会えることもある。
もう1つは、出展しているEMS企業に、自社の部品を売り込むことだ。桑田氏は、「中国などのEMS企業に対する要求は、これから高まっていくと考えられる。そうなると、これまで調達していた地元メーカーの基幹部品では、要求されている品質を出せなくなってくるという状況に直面する時がくるのではないか」と説明する。そういった場合、EMS企業に対して、「当社の部品を使えば、これだけの性能を達成できる」といったアピールができる。さらには、設計のよしあしを見極める“目利き”を務めるコンサルティング的な事業も、今後はあり得るのではないかと桑田氏は述べる。
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