NXP Semiconductorsは、組み込み技術の展示会「embedded world 2019」で、14nm FinFETプロセスを採用した第2弾組み込みプロセッサ「i.MX 8M Nano」や、車載用ゲートウェイに向けたチップセットを発表した。
NXP Semiconductors(以下、NXP)は組み込み技術の国際展示会「embedded world 2019」(2019年2月26〜28日、ドイツ・ニュルンベルク)で、組み込み向けのマルチコアアプリケーションプロセッサ「i.MX 8Mファミリー」として、「i.MX 8M Nano」を発表した。
i.MX 8M Nanoは、2018年に発表した「i.MX 8M Mini」に続き、14nm FinFETプロセスを採用したプロセッサとなる。
i.MX 8M Miniは量産を開始していて、NXPのi.MXアプリケーション・プロセッサ担当プロダクトマーケティングマネジャーのAmanda McGregor氏は、「FinFETプロセスによって、高性能化と低消費電力化を実現できたi.MX 8M Miniに対する顧客の反応は大きかった」と話す。「そのため、すぐにi.MX 8Mファミリーを拡大し、異なる機能を追加した新しいファミリーをすぐに投入する必要があると考えた」(McGregor氏)
i.MX 8M Nanoは、同Miniに比べ、ビデオ機能を省くことでコストの最適化を図り、電力効率を向上したバージョンとなる。最大1.5GHzで動作する最大4コアのArm Cortex-A53と、最大600MHzで動作するArm Cortex-M7コアを搭載している。主に、スマートスピーカー、音声コントロール機能を備えた照明スイッチなど、ビデオの機能が不要なエッジデバイスでの用途を想定している。
また、OpenCL 1.2をサポートするグラフィックスコアを搭載していて、機械学習アルゴリズムを動作させることができる。「i.MX 8M Nanoによって、エッジデバイスに、インテリジェンスをもたらすことができるようになる」とMcGregor氏は強調する。NXPのi.MXアプリケーション・プロセッサ担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのMartyn Humphries氏は、「i.MX 8M Nanoでは、Cortex-M7とCortex-A53、そしてグラフィックスコアで機械学習の推論アルゴリズムを、低消費電力で動作できる。低消費電力化を実現できるのは、FinFETプロセスを採用しているからだ」と強調する。
i.MX 8M Nanoのサンプル出荷は2019年第2四半期に、量産出荷は2019年末までに開始する予定だ。
McGregor氏とHumphries氏によれば、エッジデバイスで推論を行うエッジコンピューティングへの関心とニーズが高まっているという。i.MX 8M Mini、同Nanoとも、エッジでの推論が可能な性能を備えているとMcGregor氏は述べる。Humphries氏は、「推論が可能なだけでなく、“速く”推論ができることがi.MX 8M MiniやNanoの特長だ。既存のチップでもある程度の性能さえあれば、学習や推論はできる。だが、実際のアプリケーションで最も重要になるのが、推論をいかに速く、ほぼ遅延なくできるかだ。i.MX 8M MiniとNanoならそれが可能だ」と付け加えた。
NXPのブースには、i.MX 8M Mini(Nanoは、まだチップがないので)をコンピュータボードなどに採用したパートナー各社のデモが並んだ。
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