芝浦工業大学は、光照射を用いてフッ素樹脂上に線幅100μmの微細な銅配線を形成する技術を開発した。
芝浦工業大学工学部応用化学科の大石知司教授は2020年3月、光照射を用いてフッ素樹脂上に線幅100μmの微細な銅配線を形成する技術を開発したと発表した。
フッ素樹脂材料「ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)」は、誘電率と誘電損失が小さい。このため、伝送信号の高周波化が進む5G(第5世代移動通信)向けスマートフォンの樹脂基板材料などとして注目されている。ところが撥水性のため、これまではPTFE上に配線やデバイスを形成することが難しかったという。
今回は、アンモニア水溶液の蒸気中にフッ素樹脂基板を設置してエキシマ光を照射するなどの処理を施し、フッ素樹脂基板表面の親水化を行った。表面にはアミノ基が形成されており、「水溶液中でアミノ基とCu2+イオンの間に配位結合を形成できる」ことや、「無電解Cuめっきによりフッ素樹脂上にCu膜を形成できる」ことを、実験により検証した。
独自に開発した感光性有機無機ハイブリッド樹脂材料に成膜をし、その後にフォトリソ技術を用いて線幅100μmの微細な銅配線を形成することにも成功した。この時、一般的な銅メッキに必要となる貴金属Pd(パラジウム)触媒は用いず、全て常圧プロセスで配線を形成した。
大掛かりな装置を用いない簡便な製造プロセスであるため、製造コストの削減が可能とみている。今後は、配線幅のさらなる微細化や、レーザー照射によるダイレクトパターニング手法の開発などにも取り組んでいく計画である。
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