ASMLは、インドTata Electronicsと戦略的提携を締結した。最先端リソグラフィ装置を提供するほか、人材教育やサプライチェーン開発などでも支援を行う。Tata Electronicsは2027年、完全自動化された商用300mm半導体工場を稼働開始する予定だ。
ASMLは、インドTata Electronicsと戦略的提携を締結した。インドのグジャラート州ドレラに建設される同国初の商用300mm半導体工場に向けて、最先端リソグラフィ装置を提供する。
2026年5月15日に発表された基本合意書(MOU)によると、ASMLはリソグラフィ装置一式および技術的専門知識を提供し、Tata Electronicsの110億米ドル規模の工場を支援していくという。同工場は、自動車やモバイル機器、AIなどの用途に向けたチップを製造する予定だ。
Tata Electronicsは以前開催された業界イベントにおいて「この工場の生産能力はウエハー換算で月産5万枚で、高性能ロジックチップや、Bluetooth/Wi-Fi 向けRF対応SoC(System on Chip)、IoT製品、パワーマネジメントIC、ディスプレイドライバー、不揮発性メモリデバイスなどを製造する予定だ」と述べている。
Tata ElectronicsのCEO兼マネージングディレクターであるRandhir Thakur氏は「われわれは、ASMLが有するリソグラフィの深い専門知識によって、ドレラ工場をタイムリーに立ち上げ、Tata Electronicsのグローバル顧客に向けてレジリエントかつ高信頼性なサプライチェーンを構築していく」と述べている。
今回の提携は、単なる装置供給の枠を超えて、人材教育やサプライチェーン開発、研究インフラなども対象となる。これらは、インドの半導体生産能力をゼロから確立していく上で非常に重要な領域だ。
ASMLのプレジデント兼CEOであるChristophe Fouquet氏は「拡大し続けるインドの半導体産業は、非常に魅力的なチャンスをもたらす。われわれは、同国内で長期的な提携関係を構築することにコミットしていく」と述べた。
ドレラ工場は、28nm〜110nmプロセスを適用して半導体を生産し、グローバルな顧客に提供する予定だ。ASMLはこのような成熟ノードに注力することの意義を主張し、「成熟ノードによる売上高は専業ファウンドリーだけで約400億米ドルに達し、垂直統合型デバイスメーカー(IDM)を含めると600億米ドルに上る」と述べている。
ASMLは以前、業界向け講演の中で「大型パネルディスプレイ用ドライバーだけでも、年間120万枚のウエハーが消費されている。110nm〜130nmプロセスは長期的に維持される見込みだ。スマートフォンでは、アプリケーションプロセッサには最先端プロセスを適用するが、コーデックやディスプレイドライバー、オーディオアンプ、RFフロントエンドなどのコンポーネントは旧世代プロセスで製造されている」と述べた。
現在、約1500人の作業員が160エーカー(約65万m2)の敷地で建設作業を進めている。米EE Timesが入手した情報によると、この工場は、完全自動化された無人の(Lights-out)「インダストリー4.0」工場として設計されていて、2027年に稼働開始予定だという。
Tata Electronicsは既に、台湾のPowerchip Semiconductor Manufacturing Corporation(PSMC)と提携し、技術へのアクセスを確保しているという。EE Timesの取材によると、Tata Electronicsは東京エレクトロンとも装置供給に関する契約を結んでいるほか、設計ツールではSynopsysと契約済みだという。さらに、Analog Devices(ADI)やHimax Technologies、Bharat Electronicsといった顧客企業とも契約を締結しているとみられる。
2020年にTata Groupの合弁企業として設立されたTata Electronicsは、インドのグジャラート州、アッサム州、タミルナドゥ州、カルナータカ州に拠点を展開している。
今回の提携は、インドにおける半導体消費量が今後8年間で約340億米ドルから約1100億米ドルへ、3倍以上に増加すると予想されている中で実現されたものだ。インドとオランダは世界の半導体サプライチェーンの中で地位強化を目指していて、この提携は半導体技術協力の深化を示すものだといえる。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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