2020年5月27日、NXP SemiconductorsのCEO(最高経営責任者)に2018年9月からNXP社長を務めてきたKurt Sievers氏が就任した。88億米ドルという売上高を誇る大手半導体メーカーを社長兼CEOとして率いることになったSievers氏に、経営方針や今後の市況見通しなどについてインタビューした。
2020年5月27日、NXP SemiconductorsのCEO(最高経営責任者)に2018年9月からNXP社長を務めてきたKurt Sievers氏が就任した。
Sievers氏は、1995年にNXPの前身であるPhilipsに入社して以来、NXP一筋25年というキャリアを持つ。2009年からは経営陣の1人として名を連ね、2015年のFreescale Semiconductorとの経営統合でも重要な役割を果たすなど、NXPを知り尽くす。
88億米ドルという売上高を誇る大手半導体メーカーを社長兼CEOとして率いることになったSievers氏に、経営方針や今後の市況見通しなどについてインタビューした。
EE Times Japan(以下、EETJ) CEOに就任された今のお気持ちをお聞かせください。
Kurt Sievers氏 大きな企業のトップ、リーダーとしてのとても大きな責任を感じている。同時にこのような大きな会社で、世界を変えていける地位、立場にいるということに興奮を覚えている。
EETJ 過去2年間、社長を務めてこられました。社長とCEOでは業務内容は大きく変わるのでしょうか?
Sievers氏 社長としては、車載、産業IoT、通信インフラ、モバイルという全てのビジネス領域を担当してきた。CEOとしては、そうしたビジネスに加えて、その周辺の製造関係のオペレーションや営業、各間接部門といったNXPの全てをみていくことになる。
EETJ これまで社長を務めてこられたので、ビジネス/事業はこれまでの戦略を踏襲されることになりそうですね
Sievers氏 (NXPの前身である)Philipsに入社以来、25年。そのうち、10年は経営チームの一員として、そして過去2年は社長として、事業戦略の立案に参画してきた。指摘の通り、製品/事業ポートフォリオや財務モデルを大きく見直すような必要はない。これまでと一貫性を持ち、NXPが成功を収めてきたことを続けていく。
ただ、その中で、成長、イノベーションを実現するために、これまで以上に“人の関与”“コラボレーション”に重点を置いて強化していきたいと思っている。
優秀なエンジニアを集めて、社内でのコラボレーションを強化し、イノベーションを実現していくだけでなく、社外のパートナー、そして、顧客とのコラボレーションを強めることで、最高の結果を出すことができると考えている。主要ビジネス全てで、周囲との連携を強化してイノベーションを実現し、成長を早めたい。
EETJ 現在、注力ビジネスとして車載、産業IoT、通信インフラ、モバイルの4つを掲げています。4つのビジネスそれぞれの戦略を改めてお聞かせください。
Sievers氏 これら4つのビジネスは、いずれもNXPが強みを発揮でき、業界をリードできる部分であり、今後も継続して投資を続けていく。
まず自動車、車載向けビジネスについては、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転レベル2からレベル3に相当する部分への投資をしっかりとやっていく。レーダーデバイス、緊急ブレーキシステム、自動走行関連などが具体的な投資先だ。また、電動化によりバッテリーマネジメントの重要性も増すだろうし、大画面化が進むデジタルクラスター領域も、重点を置く投資エリアだ。
自動車向けについては、アプリケーション向けプロセッサ、ソフトウェアをはじめとして、あらゆる品ぞろえがあるだけでなく、高級車から小型車まで全ての自動車をカバーしていくという方針を継続していく。
EETJ 自動運転システムの頭脳に相当する高性能コンピューティングデバイスについては、数年前までは、統合を予定したQualcommの技術資産をベースに開発する予定でした。統合が破談になった後、NXPは自動運転に向けた高性能コンピューティングデバイスはどのように開発する予定ですか。
Sievers氏 自動運転レベル4からレベル5相当の自動運転の実用化は、(Qualcommとの事業統合を計画していた)数年前の想定よりも遅れが生じている。レベル4からレベル5相当の自動運転はいずれは実用化されるものの、以前よりも少し先になる。そこで、NXPとしては、高性能コンピューティングよりも、自動運転レベル2からレベルでも重要になる『セーフコンピューティング』に注力する。
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