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LPDDR4インタフェース搭載のNORフラッシュメモリ データ転送速度が8倍

インフィニオン テクノロジーズはLPDDR4インタフェース搭載のNORフラッシュ「SEMPER X1」を発表した。同社従来製品比でデータ転送速度が8倍、ランダム読み出し速度が20倍向上した。

» 2023年05月18日 11時30分 公開
[半田翔希EE Times Japan]

 インフィニオン テクノロジーズ(以下、インフィニオン)は2023年5月11日、LPDDR4インタフェースを搭載した車載向けNORフラッシュメモリ「SEMPER X1」を発表した。SEMPER X1はインタフェースにeXpanded SPI(xSPI)を採用した従来NORフラッシュ製品に比べデータ転送速度が8倍、ランダム読み出し速度が20倍向上した。サンプル品は既に出荷していて、2024年内の量産、出荷を予定している。

SEMPER X1 SEMPER X1[クリックで拡大] 出所:インフィニオン

 次世代自動車では、高度な安全性と信頼性、CASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)への対応などに向け高度なコンピューティングデバイスが求められている。そのため、20nm以下の微細製造プロセスを用いた高性能なコンピューティングデバイスを自動車に搭載する動きが加速している。ただ、こうした微細製造プロセスを採用したデバイスはNORフラッシュなどの不揮発性メモリを混載することが難しく、コンピューティングデバイスとは別に外付けで不揮発性メモリを実装する必要がある。

 ただ、メモリを外付けした場合、データ転送速度が不足し、ADAS(先進運転支援システム)などで要求されるリアルタイム性能を実現することが難しかった。そのためxSPIに代わる新たなメモリインタフェースが必要になっていた。

 インフィニオンは、NORフラッシュに3.2Gバイト/秒で動作するLPDDR4インタフェースを搭載しデータ転送速度を高速化したSEMPER X1を開発した。

従来のリルタイムプロセッサと性能要件を満たすリアルタイムプロセッサの比較 従来のリルタイムプロセッサと性能要件を満たすリアルタイムプロセッサの比較[クリックで拡大] 出所:インフィニオン

データ転送速度が8倍、ランダム読み出し速度が20倍向上

 同社は、SEMPER X1の性能を標準的なxSPI NORフラッシュと比較した。シングルリードオペレーションは、同社独自のメモリセル構造「eCT」により5倍高速化。ランダムリードトランザクションは、コマンド/アドレス信号とデータ信号でバスを分離することで20倍の性能が向上したという。1Mバイトあたりの読み出しに必要な電力消費量は、スループット性能を8倍向上させたことで、8分の1に削減したとする。

 メモリバンクを疑似的に複数の領域に分けるマルチバンクアーキテクチャに対応しダウンタイムゼロのOTA(over-the-air)でのソフトウェアのアップデートも可能だ。ISO 26262 ASIL-Bに準拠し、高度なエラー訂正機能などの安全性も備えている。メモリ容量としては、240Mビット、288Mビット、576Mビット(288Mビット×2)品をそろえる。

 製造は、UMCの40nmプロセスを使用する。

SEMPER X1とxSPI NORフラッシュの性能比較 SEMPER X1とxSPI NORフラッシュの性能比較[クリックで拡大] 出所:インフィニオン

 同社のフラッシュソリューションズ マーケティング&アプリケーション担当 バイスプレジデントのSandeep Krishnegowda氏は今後について「業界のパートナーと協力して、メモリ(SEMPER X1)の標準化を推進する。また、SEMPER X1と接続が可能なLPDDR4インタフェースリアルタイムプロセッサについても増やしていきたい」とコメントした。現状、SEMPER X1と接続が可能なLPDDR4インタフェースリアルタイムプロセッサには、「NXP Semiconductorsの『S32Z』『S32E』がある」(同氏)という。

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