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統合効果を発揮しアナログソリューションプロバイダーへ大きく前進する日清紡マイクロデバイス日清紡マイクロデバイス 常務執行役員 小宮山一明氏/専門部長 柏木一郎氏

2022年1月に新日本無線とリコー電子デバイスが経営統合して発足した日清紡マイクロデバイスは、アナログ半導体技術をコアにしたIoT向け総合ソリューションの開発を積極化している。統合作業の進み具合やソリューションの開発状況について、同社常務執行役員で電子デバイス事業統括本部事業企画本部長の小宮山一明氏と同事業企画本部で専門部長・新規事業開発プロジェクトリーダーの柏木一郎氏に聞いた。

» 2023年08月21日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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販売面、生産面で統合効果を発揮

日清紡マイクロデバイス株式会社 常務執行役員 電子デバイス事業統括本部 事業企画本部長 小宮山一明氏

――日清紡マイクロデバイスが発足してから1年半が経過しました。シナジーの発揮状況について教えてください。

小宮山一明氏 経営統合した両社はアナログ半導体メーカー同士ではあるが、事業の重複がほとんどなかった。新日本無線はオペアンプ/コンパレータを中心にしたアナログ信号処理ICが主体で、リコー電子デバイスはレギュレータやDC-DCコンバータといった電源ICが主体だった。顧客についても新日本無線は車載市場の顧客に強く、リコー電子デバイスは産業機器市場の顧客を多く持ち、重複は少なかった。

 そのため、互いの顧客に互いの製品を販売するクロスセルという面で最も早くシナジーを発揮できている。

――製品開発/生産面での相乗効果についてはいかがですか。

小宮山氏 期待しているシナジーとしては、生産の効率化の部分になる。リコー電子デバイスは8インチウェハ対応の前工程工場を持ち、新日本無線は自社の後工程工場が充実しており、統合で一貫した生産体制が整った。一貫生産体制によって、注力分野である車載/産業機器分野で重視される高い品質、長期安定供給をより効率的に実現できるようになる。新規開発品から一貫生産体制での生産に移行しており、今後その比率は増えていく。

Connect Everythingに向けてアナログをコアにしたソリューションを開発

――今後の製品開発方針について教えてください。

小宮山氏 発足時から「アナログソリューションプロバイダーとして、Connect Everything(すべてのモノ・ヒトをつなげる)技術で超スマート社会実現に貢献すること」を目指している。言い換えれば、IoT向けアナログソリューションの提供に重点を置いている。

 IoTでは、センサー、オペアンプやADコンバータなどアナログ信号処理IC、データを処理するプロセッサ、クラウドに接続するためのRFデバイス、そして電源ICが必要になる。

IoTで必要とされる各種半導体デバイスを網羅し、ソリューションとしての提供を目指す[クリックで拡大] 提供:日清紡マイクロデバイス

 当社にはセンサー、アナログ信号処理IC、電源ICがある。さらにマイクロ波帯のセンサーモジュールの他、2022年に日清紡グループの一員になったディー・クルー・テクノロジーズ(以下、D-CLUE)がプロセッサなどデジタル/ミックスドシグナル半導体技術を有している。日清紡グループとして、IoTに必要なデバイスを網羅している。アナログをコアにした総合的なIoTソリューションを開発できる環境にある。

独自プロセッサを開発、モジュール製造ラインも構築

日清紡マイクロデバイス株式会社 電子デバイス事業統括本部 事業企画本部 専門部長・新規事業開発プロジェクトリーダー 柏木一郎氏

――ソリューションの開発状況について教えてください。

柏木一郎氏 一例として新日本無線が得意にしたオーディオ信号処理技術を生かした産業機器向け予知保全ソリューションを開発している。D-CLUEと連携し、RISC-Vベースの汎用(はんよう)プロセッサのコア開発がほぼ完了した。これを音響処理/予知保全に特化した専用プロセッサに仕上げ、センサーやアナログICと一体化したモジュールとして3年後をメドに提供する計画だ。

 他にも、音響処理技術を応用した医療向けソリューションや、匂いに関連したソリューションの開発も進めている。

――ソリューション提供にはモジュール製造技術やソフトウェア技術も必要になります。

柏木氏 モジュールの製造については、2022年に後工程拠点である日清紡マイクロデバイスAT(旧佐賀エレクトロニックス)でモジュール製造の実装ラインを稼働させ、各種センサーやモジュールの量産に向けて取り組んでいる。同ラインで技術を蓄積し、モジュール技術としても独自性を発揮していく。

 ソフトウェア開発は、自社での開発リソースを拡充しているが、外部リソースも積極的に活用する。ソリューションの肝になるアルゴリズムについても、有力な技術を持つベンチャーと連携するなどオープンイノベーション型開発を取り入れる。既に匂いに関連したソリューションの開発はオープンイノベーション型で進めている。

――IoTソリューションでも省エネ化が必須になっています。

柏木氏 その通りでさまざまな角度からIoT機器を省エネ化するための技術開発を実施している。一つは、ビット幅を2ビットに削減した超低消費電力AIプロセッサの開発を進めている。

 もちろん、プロセッサに適した電源IC、システムを開発し、電源効率を極限まで高める。バッテリー交換不要のメンテナンスフリーIoTデバイスを実現するために、エナジーハーベスティング(環境発電)用電源ICを拡充すると共に、ワイヤレス空間電力伝送(WPT)などIoTセンシングに向けた技術開発を進めている。

AI技術を活用したIoTソリューションの提供イメージ[クリックで拡大] 提供:日清紡マイクロデバイス

顧客ニーズに応える ―― 統合で変わった企業マインド

――アナログをコアにしたソリューション開発が順調に進んでいます。

小宮山氏 顧客ニーズに応えるソリューションの提供が必要だと痛感してきたが、統合前はリソース不足などもあってなかなか実現できなかった。統合によって事業規模が大きくなってリソースにも多少の余裕が生まれたことで、ソリューション開発に本格的に着手できるようになった。そして、会社全体が顧客のニーズに応えることを最優先に考えるマインドに変わり始めた。以前は自分たちの技術を市場に投入するという意識が強かったが、現在は足りない技術は外部から調達してでも顧客のニーズに応えるという考え方が浸透しつつある。こうしたマインドをさらに強め、アナログソリューションプロバイダーへと飛躍し、事業拡大を実現していく。


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提供:日清紡マイクロデバイス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2023年9月21日

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