シリコンフォトニクスを手掛けるLightmatterが、新しい光インターコネクト技術を発表した。単一パッケージで最大256TbpsのI/Oを実現できるという。
シリコンフォトニクス技術を手掛ける米国のスタートアップであるLightmatterは、2つの新しい光インターコネクト技術「L200」と「L200X」を発表した。これにより、大規模なマルチダイチップレット設計は、各チップレットのI/O用ビーチフロントの量に制限されなくなる。これらの技術により、単一パッケージで最大256TbpsのI/Oを実現できるという。
LightmatterのCEOを務めるNick Harris氏は米国EE Timesに対し「簡単に言うと、これは全ての光学技術の最終局面であり、“チェックメイト”だ」と語った。
データセンターAI向けの大規模なマルチチップレット設計は現在、チップレットに入出力可能なデータ量によって制限されており、さらに、利用可能なビーチフロント(チップレットを同一パッケージ内の他のチップレットに接続したり、銅線を介してシステムの他の部分に接続したりできるチップレットの周辺部の長さ)によっても制限されている。
Harris氏によるとL200とL200Xは、CPO(co-packaged optics)向けの3次元技術で、256Tビット/秒(bps)のI/Oを備えたXPU(プロセッサ、アクセラレーター、GPU)設計を可能にするという。同氏は「近い将来、あらゆるAIチップ企業が、各側面に6つの広帯域メモリ(HBM)を搭載した4つのフルレティクルコンピューティングダイを備えることになるだろう」と述べ、「では、どうやって差別化を図るのか」と疑問を投げかけた。
LightmatterのL200技術では、Alphawave Semi(以下、Alphawave)のI/Oチップレットを顧客のXPUシリコンの隣に配置するように設計していて、「業界初」(同社)とするチップ全面でのI/O転送を可能にしたという。これにより、I/Oをビーチフロントに依存する必要がなくなる。Alphawaveのチップレットは、320個のSerdes(Serializer/Deserializer)ブロックの2次元アレイである。Alphawaveは、XPUに対応したI/O IP[Intellectual Property]をロイヤリティーフリーで提供するという)
I/OおよびXPUチップレットは、標準的なチップオンウエハープロセスを使用してPassageインターポーザーに実装し、UCIeプロトコルを使用して通信する。ソフトウェアの変更は不要だ。シリコン貫通ビア(TSV)は、Lightmatterの「Passage」インターポーザーを介して下のボードから上のXPUに電力を供給する。
L200は32Tbpsの光学エンジン(送信と受信)を搭載し、L200Xは64Tbpsのエンジンを搭載する。Harris氏は「これは、プラガブルオプティクスでできることと比べて桁違いに優れており、コストと電力も低い」と述べている。64Tbpsの各エンジンは、現行世代の「NVLink」より18倍高速だという。L200/200Xの場合、各ファイバーは1.6Tbpsを提供できる(16波長で、1波長当たり112Gbps)。Harris氏によると、これは、1ファイバー当たりで、今日のプラガブルオプティクスの2倍の速さだという。64Tbpsバージョンでは、1パッケージ当たり4つのI/Oチップレットがあるため、各パッケージの総帯域幅は256Tbpsになる。
Harris氏は「現在、他社のチップとの統合を進めている。L200とL200Xが完全に利用可能になるのは2026年になる」と述べた。
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