Huaweiが独自のスケーリング則「τ(タウ)スケーリング」を発表した。極端紫外線(EUV)露光技術における、米国の対中輸出規制に対し、中国がどのような取り組みを行ってきたのか、それが分かる発表となった。
HuaweiのプレジデントであるHe Tingbo氏は、2026年5月26日に中国 上海で行われた「IEEE ISCAS 2026」において、米国による半導体製造装置輸出規制に対する中国の対応として「Her’s Law」を提示した。
He氏のプレゼンによると、この法則は、ムーアの法則(Moore’s Law)を置き換えるものになるという。ムーアの法則はプロセスルールの微細化に依存しているが、中国の半導体メーカー/ファウンドリーは、米国の輸出規制によって極端紫外線(EUV)露光技術へのアクセスを禁じられていて使用できない。
「必要は発明の母」ということわざがあるように、米国の輸出規制に対する批判的な見方として、2020年の中国に対するEUV露光技術へのアクセス禁止措置が、中国が別の方向でイノベーションを起こす後押しになるのではないかと懸念されていた。そして現在、こうした制裁措置に対する中国の対応が明らかになった。広く予測されていた通り、HuaweiとSMICは、さらなる微細化へのアクセス不足を相殺すべく、ロードマップの他の部分を加速させてきた。
要するに、Huaweiは2031年までに、業界の「14A」世代と同等のレベル(性能)を実現したいと考えている。これについては、Intelは2027年までに、またTSMCは2028年までに、それぞれ実現できる見込みだとしており、Huaweiは約3年間の後れを取っている。
Huaweiはそのようなアグレッシブな目標をどうやって実現するのだろうか。その中核となるのが、同社が加速させている3D積層のロードマップだ。
AMDが2021年に開催された「Hot Chips 33」で披露した下のスライドは、この技術に関する業界全体のロードマップを示すもので、ソーシャルメディアで広く共有されている。シリコンバレーの半導体メーカーは、現在もまだこの第一段階に向かって慎重に進んでいるところだ。Huaweiは2031年までに、いくつかの段階を飛び越えて躍進したいと考えている。
Huaweiは、同社の新しい3D積層技術を「LogicFolding」と名付けた。クリティカルパスのコンポーネント間のワイヤ長を短縮し、寄生素子を減らすことで、速度向上を目指す。各ダイのコンポーネントの接続間で、ダイを垂直に積層したり、Back-to-Back接続やボンディングなどを行ったりすることで実現するという。
しかしそのためには、非常にアグレッシブなハイブリッドボンディングピッチが必要だ。He氏は基調講演で「マジックナンバーは、2μmピッチだ。当社の独自プロセッサ『Kirin 2026』(Huaweiの最新版フラグシップモバイルSoC[System on Chip])のボンディングピッチは、既にこのレベルか、または少し下回るレベルに到達している。ピッチをここまで短くすることは、ハイブリッド接続をクリティカルパスの一部にする上で非常に重要だ」と説明した。
He氏は「ムーアの法則に基づいたスケーリングでは、トランジスタ密度を126MTr/mm2から155MTr/mm2に向上させるのに3年間を要した。しかし、LogicFoldingは2026年に、シングルステップで238MTr/mm2を実現する予定だ」と続けた。
しかし、この枠組みには少し不正確な点がある。Huaweiのトランジスタ密度は、立方ミリメートル当たりの密度であって、平方ミリメートル当たりではない。それは、ダイが垂直積層されているからだ。個々のダイ上のトランジスタ密度は全く高くない。しかし結局のところ、「密度」は単なる意味論的なものといえる。He氏は「LogicFolding設計では、Kirin 2026の2Dバージョンと比較すると、SoCのPコアの電力効率が41%向上し、最大クロック周波数は12.7%増加している」と述べる。
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