第10世代BiCS FLASHにおいて強調されたのは、332層という積層数を選択したメリットだ。
従来、3D NAND市場では高積層化によってビット密度を向上し、コスト削減を実現してきた。キオクシアHDの競合プレイヤーらも400層超級の製品開発を進めている。
一方で井上氏は「過度な高積層化は設備投資や工程数の増加につながり、結果としてウエハーコストが増加するという課題が顕在化する」と説明。また、性能面でも例えば400層以上では、データ読み出しや書き込み時に活性化するメモリ層が増えるため消費電力が増加しやすいことや、さらに積層数を増やすためにはセル層を薄くする必要があり、セルが保持できる電荷量の減少によって信頼性が低下する懸念があることを挙げた。
こうした課題、懸念を考慮したうえで、第10世代で選択したのが332層だ。井上氏は「第10世代では、第8世代同様に高積層化による低コスト化だけではなく、バランスよく平面縮小技術を取り込むことで、業界平均に対し少ない積層数でGBコストの最適化を実現している」「最適化された332層を選択することで、電力効率の向上およびメモリセルの信頼性が確保できた」などと強調していた。
さらに井上氏は、332層と同社が400層以上で製品を開発した場合との比較も示した。それによると332層品は、400層以上と比較してGB当たりコストを約10%低減できるという。また、電力効率では約10%、メモリセルの信頼性では約35%優位になるとしている。井上氏は「第10世代では単純に積層数を追うのではなく、GBコスト、メモリセル信頼性、電力効率を多角的に最適化している」と語っていた。
第10世代のもう1つの特徴が、CBA技術の継続採用だ。キオクシアHDは第8世代からCBA技術を導入していて、同社によると業界平均と比較して約4年早く市場投入したという。その結果、第8世代では3.6Gビット/秒(bps)のインタフェース性能を先行して実現したとしている。
井上氏によると、第9世代および第10世代では4.8Gbpsのインタフェース性能を実現することで、競合に対して約1年先行できる見込みだという。同社は、早期から高速インタフェース対応品を展開し構成比を高めることで、PCIe Gen6/Gen7対応SSDや高性能モバイル機器向け市場での差別化を図る考えだ。
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