SK hynixは、韓国国内における1100兆韓国ウォン規模の投資計画のための資金を確保する上で、さまざまな資金源を活用する予定だという。市場需要やキャッシュフローに応じて、複数段階に分けて投資を展開していくとしている。
同社は2026年7月10日に、Nasdaq Global Select Exchangeの米国預託証券(ADR:American Depositary Receipt)を上場し、財務面の強化を図っていくという。目標とする資金調達額は45兆4500億韓国ウォン(約290億米ドル)で、これは韓国メディアが以前に予測していた100億米ドルを優に上回る規模だ。
このNasdaq上場計画は、世界メモリ市場の競争にも影響を及ぼすだろう。SK hynixは調達資金を、工場建設や機械/装置の調達などに充てる計画だとしている。アナリストは、SK hynixがこのような設備投資によって半導体供給を増加させ、一部の部品価格を引き下げることにより、市場での地位を高めていくのではないかとみているようだ。
SK hynixが米国で株式を上場することにより、機関投資家と個人投資家の双方に、メモリチップ分野におけるもう1つの新たな投資先が提供されることになる。このため、一部の投資家が、Micron Technologyのような他の投資先からの資金移動を加速させる可能性がある。
半導体業界の成長は、ハイパースケーラー各社によるデータセンターへの継続的な大規模投資に大きく依存している。
野村證券の予測によると、AIデータセンター市場における世界投資額は、2025年には4660億米ドルだったが、2030年までに年間成長率48%で伸び、3兆3790億米ドルに増大する見込みだという。このような成長は、メモリメーカーに高い収益をもたらしているが、一部のエコノミストは、同市場における過剰投資に警鐘を鳴らしている。
国際決済銀行(BIS:Bank for International Settlements)は、最近発表した年次報告書の中で、現在の技術投資レベルに関連するリスクの全体像について説明している。BISは、スイスのバーゼルに本部を置く、中央銀行相互の決済を行う国際機関だ。
報告書は、AIツールが高額な初期費用に見合うだけの十分な収益をもたらさない場合、支出が急激に減少する可能性があると警告している。そうなれば、世界の金融システムに重大な問題を引き起こす恐れがある。
BISはまた、これらのリスクはテクノロジー業界だけにとどまらないと指摘した。テクノロジー企業が支出を削減すれば、建設会社やその他のサプライチェーン企業にもすぐに影響が及ぶだろう。
また同報告書は、データセンターの建設費用に充てられた借入金が、より多くの企業の債務不履行につながる可能性があると指摘した。同時に、高インフレが続けば、経済が困難に陥った際に中央銀行が支援を行うことがより困難になるだろう。
SK hynixは、高度なコンピューティングハードウェアへの需要が、製造能力の拡大を正当化できるほど十分に長く堅調に推移すると見込んでいると述べた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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