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「国産AIスタック」を持たないカナダ、ソブリンAIをどう構築するのか日本が学べることは(1/2 ページ)

カナダには、AI分野をリードするための人材と研究基盤が備わっている。ただし、国内で自律的なコンピューティング、データセンター、エッジAIインフラを構築するには、戦略的パートナーと連携しつつ、迅速に動き出さなければならない。

» 2026年07月21日 11時00分 公開
[Gary HilsonEE Times]

AIの歴史は古いカナダ

 カナダは、AI分野での競争力を維持したいのであれば、研究面でのリーダーシップを超えて、大規模なソブリンAI(主権AI)インフラの構築に着手する必要がある――。これは、先日開催された「CHIPS NORTH Executive Summit」の包括的なテーマであり、カナダがAI研究の強みを国内のAIハードウェア能力の拡充につなげる道筋に焦点を当てたパネルディスカッションで議論された。

 カナダのAI研究機関であるVector Instituteの最高商用化責任者兼産業イノベーション担当バイスプレジデントを務めるCameron Schuler氏は「カナダのAI優位性は人材に支えられているが、その人材を商用面でのリーダーシップへと転換するために、より迅速に行動しなければならない」と指摘した。同氏は「主権AI」をハードウェア、データ、人材、コンピューティングへのアクセスの問題として位置付けている。

 Schuler氏は「カナダのAIの歴史は、今日の生成AIブームのはるか以前から始まっている。それは、現代の機械学習を可能にした基礎研究への数十年にわたる投資のたまものである。それはまさにデータとコンピューティングの交差点であり、それこそが重要なことだった」と述べている。

 しかし、AIの戦略的価値を早期に認識し、世界最大級のAI人材プールを構築したにもかかわらず、カナダ企業は、競合他社が先行する中でさえも、慎重な姿勢を取る傾向があるとSchuler氏は指摘する。同氏は「企業はより迅速に行動し、より多くのことを行う必要がある」と述べている。

 Schuler氏は、主権AIがますます重要な概念になっていると指摘し、それは「ハードウェア、データ、人材」、そしてそれらを支えるインフラを誰が管理するかにかかっていると述べている。中心的な課題はアクセスだ。企業や研究者は競争力を維持するために十分な演算能力を必要としており、データがカナダの管理下にあるという信頼性を必要としている。

 AMDのシニアバイスプレジデント兼最高ソフトウェア責任者を務めるAndrej Zdravkovic氏は「カナダのテクノロジーエコシステムは世界で競争できる人材と研究基盤を有しているが、その優位性を導入システムに転換する必要がある。カナダは研究革新において間違いなく卓越している」と述べている。

協業によって、ソブリン(主権)を確立する

 Zdravkovic氏は「次のステップはデータセンター、システム統合、大学や政府とのより緊密な連携を通じてそれを実践に移すことだ」と語った。Zdravkovic氏は「カナダは外部システムに完全に依存するのではなく、AIと高性能コンピューティングを支えるインフラを国内により多く構築すべきだ」と主張した。同氏は「真の課題は単にチップがどこで製造されるかということではなく、カナダが、チップを使って構築したデータセンターのプロセスを所有し、運用できるかどうかにある」と続けた。

カナダの人工知能・デジタルイノベーション担当大臣であるEvan Solomon氏 カナダの人工知能・デジタルイノベーション担当大臣、Evan Solomon氏

 しかし、主権は孤立を意味するものではない。サミットの締めくくりとして行われた座談会で、カナダの人工知能・デジタルイノベーション担当大臣であるEvan Solomon氏は「カナダの戦略は、信頼できる同盟国や企業とのパートナーシップに頼りつつ、人材と技術を国内に定着させておくことだ」と述べ、「主権は孤独を意味するものではない」と語った。

 Solomon氏はまた、カナダがAIモデル、自動化、エージェントを開発するために必要となる次世代インフラの重要な構成要素として、フォトニクス、パッケージング、量子ラボ、データセンターを挙げている。同氏は「チップを支えるスタック、演算能力、電力、人材、データがなければ、何も実現しない」と述べ、インフラを次の技術開発の波における真の戦場と位置付けている。

 AMDのグローバルAI市場担当シニアバイスプレジデントを務めるKeith Strier氏は「フォトニクス、エネルギー、データセンター、人材における強みが、AI競争においてカナダに真の優位性をもたらす」と述べている。同氏は、「ソブリンコンピューティングはニッチなアイデアから戦略的な必要性へと移行した。主権インフラへの投資は不可欠だ」と語った。

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