Strier氏は、主権AIの進化を3つの段階に分けて説明している。初期の戦略、ChatGPT後の投資の波、そして現在のレジリエンス(回復力)への注力である。レジリエンスを実現するには、単一のクラウドやスタックへの依存ではなく、「堅ろうで多様なエコシステム」が必要だと指摘している。
STMicroelectronicsのグローバル戦略担当バイスプレジデントを務めるKirk Ouellette氏は「AIデータセンターのブームにより半導体市場が再構築され、カナダのテクノロジーエコシステムに喫緊の機会が生まれている。これほど急速にこれほど巨大になるとは誰も予想していなかった」と述べている。
同氏は、投資やサプライチェーンがなぜこれほど逼迫しているのかの説明として、電気自動車など他の分野では1台あたり2000個のチップが搭載されるのに対し、データセンターでは1つのラックに最大4万5000個ものデバイスが収容される場合もあることを挙げた。
Ouellette氏は、カナダには現在、完全な国産AIスタックが存在せず、これはカナダ国内でより多くの企業を成長させる機会になると指摘した。
データセンターにおけるAIスタックだけがカナダにとっての機会ではない。オタワを拠点とするAIハードウェアスタートアップであるBlumindは、バッテリー駆動のデバイスやロボットに効率的なAIを導入することを目指している。現在のAIチップは消費電力が大きく、電力網に依存しており、カナダのエッジ処理における主権に貢献していない。
同社は最近、カナダ政府の戦略的対応基金イニシアチブ(FABrIC)から150万カナダドル(約110万米ドル)の資金提供を受け、フィジカルAI向けの超低消費電力アナログAIを用いてこうした制約の解消に取り組んでいる。
Blumindの共同創業者でCEOを務めるNiraj Mathur氏は「レイテンシやプライバシー、エネルギーによって制約されるユースケースには、オンデバイスAIが不可欠である」と述べている。同氏はカナダの強みは研究と早い段階での商用化にあると見ているが、革新的な企業が規模を拡大するにはさらなる支援が必要だとも指摘した。
Mathur氏は、BlumindはフィジカルAI分野に大きなビジネスチャンスがあると見ており、カナダは「未開拓のブルーオーシャン」ともいえるこの分野で主導的な役割を果たすのに有利な立場にあると考えていると述べた。「まだ黎明期にあるため、カナダにとっては多くの能力を開発する絶好の機会だ」(同氏)
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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