Palantirは、政府機関や企業向けに大規模なデータの統合/分析基盤を提供している。政府機関による同社技術の利用を巡っては、プライバシーや人権の観点から議論もある。
Reutersは2025年6月、Palantirが同年4月にICEから3000万米ドルの契約を獲得し、不法滞在する移民の特定や自主出国の追跡を行うシステムを開発すると報じた。Palantirの広報責任者もReutersの取材に対し、同社が2010年からICEと取引していることを認めている。
ICEとの関係などを背景に、Palantirの技術が政府による監視を強化するとの批判もある。これに対し、PalantirのCEOであるAlex Karp氏は2026年2月、同社の技術にはアクセス権限の細かな設定や監査ログなど、政府による過度な情報アクセスを抑制するための仕組みがあると説明した。
イスラエルとの関係については、Bloombergが2024年1月、Palantirがイスラエル国防省と戦略的パートナーシップを締結し、同国の戦争遂行を支援する技術を提供すると報じた。PalantirのエグゼクティブバイスプレジデントであるJosh Harris氏は同紙に対し、両者が「戦争関連任務」を支援するために同社の技術を活用することで合意したと説明した。Palantir自身も2023年第4四半期の事業報告で、イスラエル国防省と提携し、同国の戦争遂行を支援するため技術を提供していることを明らかにしている。
国際人権団体Amnesty Internationalは2025年9月、Palantirがイスラエル軍や情報機関にAI製品/サービスを提供していることについて、ガザでの軍事活動に関連していると指摘。Palantirに対し、イスラエル軍との事業を停止するとともに、同社製品がジェノサイドやアパルトヘイト、不法占領への加担に利用されないよう対応を求めている。これに対しPalantirは、イスラエルで事業を展開し、同国を支援していること自体は認める一方、人権侵害や戦争犯罪への加担については証拠が示されていないと反論。また、イスラエル軍が使用するとされる標的選定システム「Gospel」や「Lavender」への技術提供や関与についても否定している。
こうしたPalantirを巡る議論や懸念がある中、EE Times Japanは、プライバシー/人権上の議論やレピュテーションリスクについての富士通の認識を尋ねた。
これに対し、富士通は「個別企業であるPalantirの事業活動について、他社である当社が関与したり評価したりする立場にはない」と回答した。一方で、「富士通としては自社の規範に加え、各種法令や国際規範を踏まえ、適切にリスクを管理しながら事業を進めている」と説明。今回の協業拡大についても「適切なリスク管理の中で判断した」とした。
加えて、富士通は同社のプラットフォームを顧客に提供する際の考え方についても説明した。
富士通のFDEによる提案はあくまで顧客の経営課題を起点にするものだという。例えば、顧客から個人の追跡やプロファイリングを目的としてPalantirを導入したいという要望があった場合について、同社担当者は「追跡をやりたいからPalantirを導入してくれ、と言われたら、それはアウトだ。そうではなく、経営課題として『こういうことに困っているから、テクノロジーで解決できないか』というところから始まる」と述べた。
その上で、富士通のAI倫理に反するような用途については「そもそも提案しない」とした。
富士通にはもともとAI倫理に関する社内の審査プロセスがあり、顧客にAIを提供する際には、案件が同社の基準に抵触しないかを多面的に精査しているという。今回の協業から生まれる案件についても同じプロセスを適用し、「富士通の基準を満たしたもののみ」が実際のプロジェクトとして進行するとしている。
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