このデバイスの演算機能を支えるのは、メニーコアのRISC-Vアーキテクチャだ。Kim氏によると、その採用にはRISC-Vエコシステムの成熟も影響したという。XCENAは、カスタム命令をサポートできるようLLVMベースのコンパイラを修正し、CUDAのようなソフトウェア開発キット(SDK)を提供することで、開発者がCやC++、Rustで記述できるようにした。
数千個規模のプロセッサコアを管理するのは依然として難しいので、XCENAはプログラミングやワークロード管理を簡素化すべく、分散型データベースシステムに着想を得たフレームワークを開発した。
同社は、MX1のプロトタイプをメモリメーカーやCPUベンダー、ハイパースケーラーなどへサンプル出荷していて、2026年末までには量産を開始する予定だという。2027年に最初の顧客売上を計上することを目指している。
Kim氏によると、重要な前提条件の1つは、PCIe 6.0上で動作するCXL 3が業界で幅広く普及することだという。プロトコル自体は急速に進化しているものの、CXLの普及は期待されたより遅いともいえる。一方、Kim氏は技術そのものが原因だとは考えていない。その理由として、NVIDIAを含むCPU/GPUベンダー各社がCXLを自社チップに組み込んでいることを挙げた。
Kim氏は「CXLは既に実用可能な段階にあるものの、まだその価値を実証する必要があり、普及にはより広範なエコシステムが不可欠だ」と説明する。「われわれはCXL 3によって、AIインフラにおいてCXLが全てのユーザーにメリットをもたらすことを実証しなければならない」(同氏)
Objective Analysisの主席アナリストであるJim Handy氏は、EE Timesとのブリーフィングで、XCENAのMX1アーキテクチャについて「コンピュテーショナルストレージで採用されているアプローチに似た、興味深い組み合わせだ。とても面白い製品だ」と評価した。
Objective Analysisは最近発表したレポート「CXL Market Now Taking Shape(形成されつつあるCXL市場)」で、CXLがハイパースケールコンピューティングの分野で普及しつつあることや、同技術が本格的な成長局面を迎えつつあることについて説明している。
Handy氏によると、現在、CXLの最も魅力的な機能の1つがメモリ拡張だという。一方、現在の価格でDDR5を新たに購入する代わりに、DDR4などの旧世代メモリを再利用することも一般的なユースケースになっている。同氏は「Metaが数百万台規模のサーバでCXLベースのメモリ拡張を利用し、退役させたマシンから取り外したDDR4モジュールを廃棄せず再利用している」と説明する。
Handy氏によると、CXLのメモリプーリング機能は優れたアイデアであるにもかかわらず、まだ広く利用されていないという。「メモリプーリングの開発者は、おそらく開発を急がざるを得ない状況にあるのだと思う。既に保有しているメモリチップの利用率を高められるし、メモリが非常に高価なら、遊休状態のメモリを生じさせたくはないからだ」(Handy氏)
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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