EMASSは、0.1〜5mW動作で30GOPSの演算性能、最大12TOPS/Wの電力効率を実現するエッジAI SoC(System on Chip)「ECS-DoTE」を開発。欧州最大規模の組み込み技術展示会「embedded world 2026」(ドイツ・ニュルンベルク/2026年3月10〜12日)でデモを展示した。
EMASSは、0.1〜5mW動作で30GOPSの演算性能、最大12TOPS/Wの電力効率を実現するエッジAI SoC(System on Chip)「ECS-DoT」を開発。欧州最大規模の組み込み技術展示会「embedded world 2026」(ドイツ・ニュルンベルク/2026年3月10〜12日)でデモを展示した。今回、同社のセールス マーケティング担当バイスプレジデントを務めるScott Smyser氏に話を聞いた。
EMASSはオーストラリアを拠点とするテクノロジー企業Nanoveuの子会社で、エッジ向けの超低消費電力AI SoCであるECS-DoTを開発している。ECS-DoTは、センサーノードなどのエッジデバイス上でAIワークロード全体を完結する用途に最適化されたチップで、ウェアラブルやスマートデバイス、産業IoT機器、ドローンなど幅広い分野での使用を想定している。なお、同社はファブレスメーカーで、ECS-DoTはTSMCの22nmプロセスを採用、ダイ面積は7mm2だ。
ECS-DoTは最大50MHz動作の32ビットRISC-V MCUと、2つのディープラーニングアクセラレーターを1チップに統合。さらにオンチップメモリとして最大2Mバイト(MB)のSRAMと2MBのMRAMも搭載。外部メモリに依存しないAI処理を可能にしている。
ECS-DoTの大きな特徴は、AIモデルの重みを圧縮保存したものを推論時に展開する「AI重みデコンプレッサー(AI weight decompressor)」をオンチップで備える点だ。ニューラルネットワークの重みを約1.3ビット/重みに圧縮して、チップ上のMRAMに保存。推論時にはAI重みデコンプレッサーがリアルタイムで展開し、ディープラーニングアクセラレーターがAI推論を実行する。
メモリ容量が限られるエッジデバイスでは従来、AIモデルのサイズが制約となっている。Scott Smyser氏は「AI重みデコンプレッサーによって、より大きなAIモデルを圧縮して保存し、精度を維持したまま推論時に展開できる」と同社チップの強みを語った。
ECS-DoTは、0.1〜5mWの範囲で動作しAI演算性能は約30GOPS、電力効率は最大12TOPS/Wを実現するという。チップにはパワーゲーティング機能も組み込まれていて、使用していない回路を停止することで消費電力を抑える設計になっている。ECS-DoTのレイテンシは10ミリ秒未満、推論当たりのエネルギー消費は1μ〜10μJだとしている。
Smyser氏は「低消費電力をうたう競合SoCはいくつかあるが、ECS-DoTではアクティブ時の消費電力がそうした競合比で20分の1を実現している。AI推論を実行しているとき、われわれははるかに効率的だ」などと強調していた。
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