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ペロブスカイト太陽電池の高性能化へ 岐阜大が新材料:「エネルギーの階段」作る材料設計

岐阜大学は、工学部の萬関一広准教授の研究グループがペロブスカイト太陽電池の高性能化につながる新たな材料設計に成功したと発表した。2種類のルチル型酸化チタンのエネルギー準位の違いから、「エネルギーの階段」を作ることで高い光電変換効率を示したという。

» 2026年10月13日 09時30分 公開
[杉山康介,EE Times Japan]

 岐阜大学は2026年9月、工学部の萬関一広准教授の研究グループがペロブスカイト太陽電池の高性能化につながる新たな材料設計に成功したと発表した。

2種類のルチル型酸化チタンのエネルギー準位に違い

 ペロブスカイト太陽電池において、酸化スズや酸化チタンなどの金属酸化物半導体は、ペロブスカイト層が光を吸収して生じた電子の取り出しや輸送を担う材料として知られ、その高機能化は重要な研究課題とされる。

 萬関准教授の研究グループでは酸化物半導体のナノ構造エンジニアリング(微細構造と電子物性の制御)に関する研究を進めている。同グループが透過型電子顕微鏡(TEM)などで反応温度を変えて合成した酸化チタン微粒子を観察したところ、同じ500℃の熱処理でも、50℃で合成した束状の酸化チタン微粒子はロッド状粒子に構造変換したのに対し、60℃で合成した粒状の酸化チタンは粒子同士が集まってつながった構造に変化することが判明した。

 紫外光電子分光法(UPS)や光吸収スペクトル測定、電気化学測定のMott-Schottky測定などを組み合わせて電子物性を評価した結果、この2種類のルチル型酸化チタンのエネルギー準位に違いがあることを確認。異なる材料や結晶相を組み合わせずとも、エネルギー準位の違いを利用すればルチル型酸化チタン同士で電子輸送に適した積層構造の「エネルギーの階段」を形成可能だと示した。

酸化チタン同士で「エネルギーの階段」を形成

 それを踏まえ、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜をコーティングしたガラス基板に2種類の酸化チタンを電子輸送層として積層し、ホルムアミジニウム鉛ヨウ化物(FAPbI3)を光吸収層としてペロブスカイト太陽電池を作製。酸化チタンをエネルギーの階段になるよう配置した構造での光電変換効率は19.2%で、単層構造や、逆配置した構造(17.37%)よりも高い発電性能を得られた。同じ結晶相の酸化チタンでも、微細構造と電子物性の異なる材料を適切な順序で積層することが、電子輸送および界面設計を通じた太陽電池の高性能化に効果的だと示したとする。

2種類の酸化チタンで「エネルギーの階段」を構成 2種類の酸化チタンで「エネルギーの階段」を構成[クリックで拡大]出所:岐阜大学

 なお、同研究では酸化チタン電子輸送層の効果を明確にするため、ペロブスカイト光吸収層には文献に基づいた標準的な作製条件を統一して用いた。別途で緻密な酸化チタン層も設けず、作製した酸化チタン積層膜を電子輸送層として直接用いている。

 研究グループは今後、酸化チタンの微細構造や積層構造をより精密に制御し、光吸収材料に応じて電子の流れを最適化できる電子輸送層の開発を進める。エネルギーの階段を用いた材料設計は酸化チタン以外の酸化物半導体材料への展開も期待され、ペロブスカイト太陽電池のさらなる高性能化、多彩な次世代太陽電池への展開にもつながる可能性があるという。

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