Zeissは、ドイツ国内で製造インフラを拡充している。同社は2026年7月、本社を置くドイツ・ヴュルテンベルク州オーバーコッヘンで、生産および生産関連の施設を約2万5000m2増設する取り組みについて説明した。建設は2022年5月に始まった。
2026年7月には新しいオフィスビルの利用を開始し、施設拡充の初期段階における節目となった。その他の建物も段階的に稼働する予定だ。Zeissは、ドイツ・ヘッセン州ヴェッツラーでも多機能工場を建設している。
こうした投資が生産能力の増強につながるまでには長い時間がかかる。専用装置を設置して試運転し、生産プロセスを安定させ、計測システムを必要な稼働水準まで引き上げなければならない。
2026年7月の発表ではインフラ拡張の詳細が示されたが、所定の品質基準を満たすEUV用光学系の生産量が具体的にどれだけ増えるかは明らかにされなかった。
こうした光学系の生産量は、ASMLがより高い製造目標に向けて取り組む上で有用な指標となる。施設や装置の稼働開始は1つの段階にすぎず、露光装置の納入台数増加にどれだけ貢献できるかは、所定の品質基準を満たした光学アセンブリを継続的に生産できるかにかかっている。
ASMLとZeissは、High-NA EUVへの移行も進めている。High-NA EUVではNAが0.33から0.55に引き上げられ、光学系の構造が大幅に複雑化する。Zeissによると、同社のHigh-NA用投影光学系は4万点以上の部品で構成され、重量は約12トンに及ぶという。
Intel Foundryはすでに、一部の量産用途にHigh-NA EUVを導入している。IntelとASMLは2026年9月、装置の適格性評価、開発、生産活動を通じて100万枚以上のウエハーを処理したと発表した。
この実績は、製造エコシステムがHigh-NA EUVのより広範な展開に備える上で、運用面での初期の参考事例となる。既存のLow-NA EUV装置の増産と並行して、High-NA EUVでも独自の生産体制の拡充と適格性評価の立ち上げが必要になる。
Low-NAとHigh-NAでは、光学系に求められる要件が異なる。生産能力と納入スケジュールは、個別に評価する必要がある。
ASMLが更新した需要見通しでは、計画中の製造設備への投資を、所定の品質基準を満たす製品の生産にどれだけ速く結び付けられるかが、これまで以上に重要になっている。
注視すべき運用指標は、次の3点だ。精密光学系向け装置の追加稼働、所定の品質基準を満たした光学アセンブリの供給可能数、顧客に納入された完成済み露光装置の台数である。
ASMLは、生産性を高めるためのアップグレードを通じて、顧客がすでに導入している露光装置のウエハー処理能力も引き上げている。こうしたアップグレードにより、半導体メーカーは、新しい露光装置の製造が進む間も、既存装置のウエハー処理能力を増強できる。
ASMLとZeissの協力関係は、数十年にわたるリソグラフィ技術の開発を支えてきた。両社は、現在の投資によって、生産量のさらなる大幅な増加を目指している。
ASMLは、供給計画を拡大しても顧客の需要に追い付かない可能性があることを示している。EUV露光装置の納入台数をどれだけ速く増やせるかは、Zeissが精密光学系への投資を、所定の品質基準を満たす製品の安定生産にどれだけ迅速に結び付けられるかにも左右される。
【翻訳:滝本麻貴/田中留美、編集:EE Times Japan】
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