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Armの契約違反認定も、Qualcommへの賠償は「2ドル」:最大5年間のロイヤリティー停止も焦点に(1/2 ページ)

ArmとQualcommの訴訟で、米連邦地方裁判所の陪審はArmによるライセンス契約違反などを認定した。一方、Qualcommに認められた損害賠償額はわずか2米ドルにとどまった。今後は、Qualcommが求める最大5年間のロイヤリティー支払い停止が認められるかが焦点となる。

» 2026年10月26日 11時00分 公開
[Pablo Valerio,EE Times]

 2026年10月13日、米デラウェア州の連邦地方裁判所の陪審は、Qualcommの主要な主張を認める評決を下した。陪審は、Armがアーキテクチャライセンス契約(ALA)に違反し、Qualcommと顧客との取引関係に意図的に干渉したと判断した。ただし、陪審がQualcommに認めた損害賠償額は、契約違反と取引関係への干渉についてそれぞれ1米ドル、合計2米ドルにとどまった。一方、Qualcommが求めている、Armへのロイヤリティー支払いを最大5年間停止するという救済措置については、同裁判所のMaryellen Noreika判事の判断が残されている。

QualcommとArm、双方が評決を歓迎

 Qualcommは公式声明の中で「Armが当社との長年にわたるALAに違反し、契約上の義務を果たさず、当社の事業を意図的に妨害したと陪審が認めたことを歓迎する。この結果は、イノベーションと競争にとっての勝利であり、当社は引き続き、Oryon CPUをはじめとする業界をリードする半導体製品を、世界中の顧客や消費者に向けて開発し、提供することに注力していく」と述べた。

 今回の評決は、半導体大手2社の間で4年にわたって続く法廷闘争の新たな局面となった。Qualcommにとっては、製造/販売の差し止め命令や設計データの破棄を命じられるリスクが後退し、スマートフォン、AI PC、車載プラットフォーム向けに独自設計の半導体製品の市場投入を進めやすくなった。

 Qualcommは、Armが2024年にライセンス契約の終了を警告する書簡をメディアに漏えいさせ、Metaとの取引に悪影響を与えたと主張していた。陪審は、Armがソフトウェアの修正パッチやチップの検証ツールを提供せず、技術支援に関する契約上の義務に違反したほか、QualcommとMetaとの取引関係に意図的に干渉したと判断した。この評決によって、主要な機器メーカーへのチップ供給を巡る不透明感が和らぐ一方、Armに対する法的/財務的な圧力が強まることになる。

 Armは公式声明の中で「陪審が4件の請求について当社の主張を認め、残る2件のQualcommによる請求についても、損害賠償額をそれぞれわずか1米ドルとしたことを歓迎する。Qualcommは、当社がライセンス契約に基づいて得るはずの数十億米ドルを失わせようとして今回の訴訟を起こしたが、陪審の評決は、当社が技術ライセンス契約に基づき誠実に対応してきたことを裏付けるものだ。損害賠償額が合計わずか2米ドルだったことも、この訴訟における当社の主張の妥当性を示している」と述べた。

「MWC」のArmブース 「MWC」のArmブース[クリックで拡大]

対立の根底にある2つのライセンス契約

 ArmとQualcommの紛争の根底にあるのは、半導体業界におけるIP(Intellectual Property)の商用化の仕組みに関する根本的な違いだ。Armは半導体の製造ではなく、主にプロセッサのアーキテクチャに関するIPのライセンス供与を事業としている。同社は命令セットアーキテクチャ(ISA)を定義し、ソフトウェアの命令をハードウェアがどのように実行するかを規定している。

 Armはこうした技術を収益化するために、技術ライセンス契約(TLA)とアーキテクチャライセンス契約(ALA)という2つの主なライセンス形態を用意している。

 TLAでは、顧客はArmが提供する既成のCPUコア設計(「Cortex」シリーズなど)のライセンスを取得し、SoC(System on Chip)に組み込むことができる。その対価として、ライセンス料と製品1個当たりのロイヤリティーを支払う。

 一方、ALAでは、ライセンシー(ライセンスを受ける企業)が基盤となる命令セットアーキテクチャを利用するためのライセンスを取得する。ソフトウェアとの互換性を維持することを条件に、独自のCPUコアを設計する権利が与えられる。

 従来、QualcommはArmとのTLAを利用してきた。しかし、処理性能への要求が高まる中、Qualcommは電力効率と性能の向上を目指し、CPUコアの独自開発に乗り出した。

 2021年初頭、Qualcommは半導体設計の経験豊富な技術者らが設立したスタートアップNuviaを買収した。NuviaはArmとの間で、データセンター向けプロセッサの開発を想定したALAを締結していた。QualcommはNuviaの開発チームと設計技術を自社の製品ロードマップに取り込み、独自CPUアーキテクチャ「Oryon」の開発につなげた。

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