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生成AIは前工程装置市場をどう変えた? ――各装置の明暗と「After AI」の行方:湯之上隆のナノフォーカス(96)(1/5 ページ)

生成AIは半導体市場を大きく変えている。半導体製造装置市場も例外ではない。本稿では、13種類の前工程装置市場の推移を振り返りながら、生成AIの登場による同市場の変化と、今後(After AI)の行く末を予想したい。

» 2026年10月27日 13時00分 公開

はじめに

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 生成AIの登場により、世界半導体市場は2026年に前年比でほぼ倍増する勢いだ。では、その半導体を製造する前工程装置の市場はどう変わったのだろうか。本稿では13種類の前工程装置について、1995〜2025年の市場の推移を分析した。2000年から25年間で10倍以上に成長した装置がある一方で、縮小した装置もある。さらに、ChatGPT公開の前後で比べると、装置ごとの明暗はさらにはっきりする。加えて、半導体市場と装置市場の間に、かつてない乖離が生まれつつあることも分かった。その上で、今後、装置市場がどのように成長するかを論じる。

13種類の前工程装置市場の推移

 図1は、13種類の前工程装置の市場規模を1995年から2025年まで示したグラフである。2025年に最も大きいのは露光装置で277.6億米ドルだった。以下、ドライエッチング装置の209.3億米ドル、外観検査装置の164.9億米ドル、CVD装置の139.6億米ドルと続き、この4種類が「100億米ドル超」のグループをつくっている。

その下にPVD装置(70.4億米ドル)、パタンウエハー検査装置(64.7億米ドル)、枚葉式洗浄装置(56.3億米ドル)が並ぶ。それ以外の熱処理装置、CMP装置、コータ/デベロッパ、マスク検査装置、CD-SEM、バッチ式洗浄装置は、いずれも50億米ドルに届いていない。

図1 各種の前工程装置市場の推移 図1 各種の前工程装置市場の推移[クリックで拡大] 出所:SBI証券、一部微細加工研究所の推定

露光装置とドライエッチング装置の首位争い

 図1で特に興味深いのは、露光装置とドライエッチング装置の首位争いである。2000年代は露光装置が一貫して首位だった。ところが2015年ごろから3次元(3D) NAND型フラッシュメモリ(3D NAND)の量産が本格化すると、高アスペクト比の孔や溝を加工するドライエッチング装置の市場が急拡大した。その後2022年ごろまで、両者は拮抗し、あるいはドライエッチング装置が露光装置を上回る状況が続いた。

 この流れが変わったのは2023年である。メモリ不況でドライエッチング装置の市場が大きく落ち込んだ一方、極端紫外線(EUV)露光装置の本格普及を背景に露光装置の市場は急激に成長し、両者の差は一気に開いた。

 図1からは、ITバブルの崩壊、リーマン・ショック、メモリバブルの崩壊のたびに、ほとんどの装置市場が一斉に落ち込んできたことも読み取れる。つまり、装置市場がシリコンサイクルの影響を強く受けることがよく分かる。しかし2023年の落ち込みは装置によって大きな差があり、露光装置はむしろ大きく伸びた。この点は後の章で詳しく扱う。

2000年から25年間で何倍に成長したか

 図1では市場規模の大きな装置ばかりが目立ち、小さな装置の成長ぶりが分かりにくい。そこで、ITバブルのピークだった2000年の市場規模を「1」と規格化して、各装置の市場推移を調べてみた。こうすると、規模の大小に関係なく、各装置がこの25年間でどれだけ成長したかを横並びで比較することができる(図2)。

 この図は衝撃的である。

 装置市場の規模ではトップ5に入っていなかった枚葉式洗浄装置とマスク検査装置が10倍以上に成長しているからだ。

図2 2000年で規格化した各種前工程装置市場 図2 2000年で規格化した各種前工程装置市場[クリックで拡大] 出所:SBI証券、一部微細加工研究所の推定

 図2の2025年の値を大きい順に並べたのが図3である。最も成長が大きかったのは枚葉式洗浄装置(12.2倍)、次いでマスク検査装置(11.2倍)である。4〜6倍のグループには、パタンウエハー検査装置(6.2倍)、露光装置(5.2倍)、ドライエッチング装置(4.8倍)、外観検査装置(4.4倍)、熱処理装置(4.1倍)が入る。3倍前後がCVD装置(3.3倍)とPVD装置(2.8倍)、2倍前後がCMP装置(2.2倍)、CD-SEM(2.1倍)、コータ/デベロッパ(1.6倍)である。バッチ式洗浄装置だけは0.8倍で、25年前より市場が縮んでいる。

図3 各種前工程装置の2000年に対する2025年の倍率 図3 各種前工程装置の2000年に対する2025年の倍率[クリックで拡大] 出所:SBI証券、一部微細加工研究所の推定

上位3種類は「作る装置」ではなく「守る装置」

 後述するが、この25年間で製造装置市場全体は約3.0倍になった。これを上回ったのは、枚葉式洗浄装置からCVD装置までの8種類である。注目したいのは上位3種類の顔ぶれだ。枚葉式洗浄装置、マスク検査装置、パタンウエハー検査装置は、いずれもウエハー上にパタンを「作る」装置ではない。パーティクルを「取り除く」装置と、欠陥を「見つける」装置である。微細化や3次元化が進むほど、「歩留まりを守る装置」の重要性が増してきたことを、このランキングはよく表している。次章では、10倍以上に成長した枚葉式洗浄装置とマスク検査装置を詳しく見ていく。

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