Microsoftのネットワーク対応スマートデバイス「SPOT」。この新デバイスには否定的な意見が多く、特にIT関連メディアの評価は厳しい。開発サイドではどう見ているのか、SPOTの製造パートナーであるシチズン時計に話を聞いた。
Microsoftが力を入れるネットワーク対応スマートデバイス「SPOT(Small Personal Objects Technology)」。シチズン時計は、CESで発表されたSPOTの製造パートナー3社では唯一の国内メーカーだ。同社でSPOT開発を担当する企画部開発技術室長の福島信人氏と、情報機器事業部営業部係長の前田浩司氏に、SPOTの可能性や同社のSPOT端末の事業展開について聞いた。
「Microsoftから当社にSPOTの話がきたのは約2年前だった」と前田氏は振り返る。MicrosoftがSPOTの開発に着手したのが約3年前というから、比較的早い段階で時計メーカーの同社にアプローチしてきたことになる。「SPOTのコンセプト自体は、Microsoftの中でかなり以前からあったもの。そして早い段階から時計スタイルでいくという方向性が確立されていた。だから時計メーカーにも早く声をかけたのだと思う」(前田氏)。
SPOTは昨年11月のCOMDEX/Fallで初めて紹介され、今年1月のInternational CES 2003でその詳細が語られた。しかし、この新デバイスに対するマスコミの報道は否定的なものが多く、特にIT関連メディアの評価は厳しい。
確かにその仕様を見る限りでは、特に目新しい技術はない。逆に、サイズやバッテリー持続時間など不満点が目立ち、サービス内容も携帯電話など既存のものと大差がないように見える。だが、Microsoftが3年も前から準備を進めてきた新ネットワーク対応デバイスは、果たしてその程度の実力なのだろうか。
前田氏は「SPOTのような新デバイスが登場すると、どうしてもそのテクノロジーが注目されがちになる。だが、Microsoftがこれで目指すものはインタフェースであって、テクノロジーではない。Gates氏が昔から提唱していた“指先に情報を”という提案を具現化するのがSPOT」と言う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.