中国のDRAM最大手ベンダーCXMTが、DDR4メモリの生産を2026年中旬までに終了させるという。DDR4を、米国メーカーの半額という猛烈な価格で販売し、メモリ生産量も増やしていたCXMTがなぜ、ここに来て突然、生産終了を決断したのだろうか。
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2025年5月の最大のイベントは「COMPUTEX/TAIPEI 2025」であるが、これに関してはこちらのページにレポートが多数掲載されているのでそちらをご覧いただくとして、ちょっと違う話をご紹介したい。
台湾DigiTimesは5月27日、中国のDRAM最大手ベンダーであるCXMTが、PCおよびサーバ向けのDDR4メモリの生産を2026年中旬までに段階的に終了させ、DDR5に移行する予定であることを報じた(参考)。
実はこれ以前に、3大DRAMベンダー(Samsung Electronics/SK hynix/Micron Technology)がいずれも2025年一杯でDDR4の生産を終了させてDDR5に移行する事をアナウンスしており、今回のCXMTの報道によりDDR4とDDR5のBit crossが極端な形で発生する事になった。
Bit crossは通常メモリの世代交代の際に発生する。例えば図1はDDR3とDDR4の世代交代が発生した2016〜2017年あたりの価格を比較したグラフである。この世代で言うと、まだDDR4は出始めなので価格にプレミアがついており、一方DDR3はもう製品展開の末期ということでプレミアも何もついていない。ただここからDDR3は次第に生産量を減らしてゆくので、価格はゆっくりと下げ止まる方向に行く。
一方でDDR4は生産量を増やしてゆく関係で、だんだんプレミアが無くなる事に加え、量産効果による価格低下が起きる。この結果として図1ならDDR4のHigh Volumeは2016年Q1あたりに同容量のDDR3と同等の価格になるし、Low Volumeの方も2016年Q4あたりに同等になる。以後はDDR3よりDDR4の方が価格が安い、という逆転した状況になる訳だ。これがこれまでのBit crossであり、DDR2→DDR3とかDDR→DDR2、SDR→DDRなども傾向としては同じであった。
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