MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)関連の市場調査を手掛けるフランスYole Development社は、携帯電話機に向けたMEMS部品の市場規模が2012年に25億米ドルに達すると予測するレポートを発表した。
同社が2008年7月31日に発表した「携帯電話機向けMEMS(MEMS for Cell Phones)」と題するレポートによると、携帯電話機はMEMS部品にとって複合的な課題を投げ掛ける一方で、今後の5年間では、MEMS部品の出荷額を拡大する最大の市場になるという。
同社は、MEMS技術を使ってSi(シリコン)チップにマイクロホン素子を作り込んだいわゆる「シリコン・マイクロホン」と、共振器を作り込んだBAW(Bulk Acoustic Wave)フィルタやFBAR(Film Bulk Acoustic Resonatorフィルタ)については、2003年の市場投入以降、「驚くべき成長を遂げた」としており、現在は成熟期に達しつつあるという。加速度センサーは「大きく成長する段階」にあり、ジャイロスコープ(角速度センサー)やマイクロディスプレイ、マイクロオートフォーカス/マイクロズームは「立ち上がる段階」にあるとしている。
このほか同社は、まだ立ち上がる段階に達していないMEMS部品として、圧力センサーやマイクロミラー、高周波用スイッチ/可変容量ダイオード(バリキャップ・ダイオード)、MEMS発振器、マイクロ燃料電池を挙げている。
このレポートによれば、2007年に携帯電話向けに出荷された3種類のMEMS部品の累積売上高は、4億4000万米ドルに達したという。3種類のMEMS部品とは、シリコン・マイクロホンとBAW/FBARフィルタ、加速度センサーである。
同社はレポートの結論として、MEMS部品は今後、携帯電話機の革新を主導する鍵になるとし、2012年までにMEMS部品全体の市場規模のうち60%が携帯電話機向けになると予測している。
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