太陽ホールディングスは、同社の次世代半導体パッケージング用材料「FPIMシリーズ」を用いて12インチウエハー上でクリティカルディメンション(CD)1.6μmの3層再配線層(RDL)形成に成功したとして、imecとの共著論文を発表した。FPIMシリーズの研究開発を率いる緒方寿幸氏に、同材料の特性や研究の成果、今後の研究開発での目標について聞いた。
太陽ホールディングスは2025年11月、同社の次世代半導体パッケージング用材料「FPIMシリーズ」を用いて12インチウエハー上でクリティカルディメンション(CD)1.6μmの3層再配線層(RDL)形成に成功したとして、imecとの共著論文を発表した。
太陽ホールディングスでFPIMシリーズの研究開発を率いる緒方寿幸氏に、同材料の特性や研究の成果、今後の研究開発での目標について聞いた。
――FPIMシリーズはどのような用途に向けた材料ですか。開発の経緯についても教えてください。
緒方寿幸氏 FPIMシリーズは、先端パッケージング技術における効率的な電気接続のために重要な、微細ピッチのRDL形成に向けたネガ型感光性絶縁材料だ。
太陽ホールディングスのグループ企業の中でも、プリント配線板向けのソルダーレジストで高いシェアを持つ太陽インキ製造は、現在の市場要求に応えるような製品開発を主に行っている。対して太陽ホールディングスは、将来の市場を見据えたチャレンジングな研究開発を行う。太陽ホールディングスでは、この数年で急激に立ち上がってきている先端パッケージングの領域でできることを探る中で、2019年ごろから先端パッケージング向けの研究開発を始めた。
RDLは現在主に、ウエハー全面に薄いシード層を形成してから配線部分を電解めっきでパターン形成する「セミアディティブプロセス(SAP)」で製造されている。しかし、imecは今後、配線間隔1.6μm以下の微細なRDL形成には、絶縁膜上に配線部分の溝を形成してスパッタ、化学気相成長(CVD)、電解めっきなどで金属を埋め込みパターンを形成する「ダマシンプロセス」が必須になると提唱している。
半導体メーカーでは、一度確立したプロセスで採用した材料を別のメーカーのものに置き換えることはほとんどなく、既存のプロセスに後から参入してシェアを獲得することは難しい。そのため、材料メーカーにとっては新しいプロセスが生まれるときこそが新規参入のチャンスだ。太陽ホールディングスは、ダマシンプロセスが確立されていくタイミングで提供できるよう、同プロセス向けのRDL次世代材料としてFPIMシリーズを開発し、2022年10月からimecと共同研究を行ってきた。
imecは12インチウエハーの評価ラインを保有し、デバイスの設計からプロセス開発、試作まで行える。そこで得られる研究成果は、次世代プロセス技術の議論や、ファウンドリーのPDK(Process Design Kit)の方向性にも影響を与える。そのimecと共同で研究することで、太陽ホールディングスも先端パッケージングに貢献できると考えた。
まず太陽ホールディングス単体で材料の開発を進め、国内の8インチラインで検証を終えた。その結果を元にimecと議論を始め、太陽ホールディングスの研究員がimecに駐在。実際にimecの12インチラインで検証し、改良を繰り返してきた。
――2025年11月に発表した成果はどのようなものですか。
緒方氏 FPIMシリーズを用いて12インチウエハー上にRDL3層構造を形成し、評価を行った。各配線間隔は、ウエハー上のRDL1層でCD 1.6μm、ビア層でCD 2.0μm(ビア中心間ピッチCD 4.0μm)、RDL2層でCD 1.6μmと目標寸法を達成した。これは、今回使用したLow NAステッパーにおける解像限界に極めて近い値だ。また、CD 1.6μmのRDL1層におけるリーク電流と抵抗の電気特性の評価結果も良好だった。今回のimecとの共同研究による成果として、FPIMシリーズは、優れた電気特性と高解像性、CMPプロセスに適応できる品質を持つ材料であることが確認できた。
12インチウエハーで実証したことも意義が大きい。8インチウエハーでの実証結果だけでは顧客がそのまま12インチラインに展開できず、確認しなおす手間が発生することから、ほとんど興味を示してもらえないのだ。
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