米Dell(デル)社は、「すべての新型ノート・パソコンのディスプレイを12カ月以内にLED(発光ダイオード)に切り替える」という計画を発表した。「世界で最もグリーンな(環境に最も配慮した)ハイテク企業」を目指すという公約の実現に向けた、同社の新たな1歩だといえる。
同社は、2008年9月24日にモナコのモンテカルロで開催した「モビリティ・サミット2008」で、「他社に先駆けて、エネルギ効率に優れたLED技術へ移行する」と宣言した。2009年末までに、同社が出荷するノート・パソコンのうち少なくとも80%にLEDバックライト・ディスプレイを標準搭載する予定だという。さらに2010年には、すべてのノート・パソコンのディスプレイをLED品に切り替えたいとしている。
具体的には2008年12月15日から、ノート・パソコン「Latitude Eファミリ」の2/3の機種に、LEDバックライトを標準搭載して出荷する。対象となる機種は、Latitude E4200とE4300、E6400、E6400 ATG、E6500である。同日付けで出荷するモバイル・ワークステーション「Precision M2400/M4400」でも、標準ディスプレイにLEDバックライトを採用するという。
LEDディスプレイは、水銀を使わずに製造できることとリサイクル性が高いことに加え、冷陰極蛍光管(CCFL)に比べてエネルギ効率が大幅に高いという利点もある。Dell社によれば、LEDバックライトを採用した15インチ型ディスプレイでは、最大輝度で使用した場合に、平均消費電力がCCFL品より43%も低いという。
同社は、LED化によって2010〜2011年の2年間で、同社のノート・パソコンが消費する電力を約2億2000万キロワット削減できると予測しており、これを電気料金に換算するとおよそ2000万米ドルに相当するという。これは、1万以上の世帯がエネルギ消費によって年間に排出するCO2の量に相当する。
同社が環境対策の面でこのほかに「業界初」の実績としているのは、2008年6月に、サーバー用電源装置として初めて「80 PLUS Gold」認証を取得したことである。同認証は電力変換効率が80%を超えると認められた製品に与えられ、「Gold」はその最高ランクとなる。このサーバー用電源装置は、コンピュータのエネルギ効率の向上によってCO2排出量の低減を目指す「Climate Savers Computing Initiative」が掲げる2009年の達成目標もクリアしている。
さらに同社は、従来機に比べて約80%も小さく、消費電力を最大70%低減したデスクトップ・パソコン「Studio Hybrid」も2008年8月に市場投入している。
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