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カメラベースで雪道をハンズオフ走行、SUBARUとInfineon協業の意義embedded world 2026(1/2 ページ)

SUBARUは、将来のSUBARU車向けの制御統合ECUにInfineon Technologiesの車載MCU「AURIX TC4x」を採用する。両社はドイツ・ニュルンベルクで開催された「embedded world 2026」で共同プレゼンテーションを実施。LiDARやレーダーなしのカメラベースのセンサー構成で雪道をハンズオフ走行するプロトタイプ車のテスト走行動画なども公開した。

» 2026年03月12日 08時55分 公開
[永山準EE Times Japan]

 Infineon Technologies(以下、Infineon)とSUBARUが、ドイツで開催中の組み込み技術の展示会「embedded world 2026」(ドイツ・ニュルンベルク/2026年3月10〜12日)において共同プレゼンテーションを実施した。

 SUBARUの最高デジタルカー責任者である柴田英司氏は、SUBARUの次世代先進運転システム(ADAS)と車両制御を担う制御統合ECU向けにInfineonの車載MCU「AURIX TC4x」を選んだ理由などを語るとともに、LiDARやレーダーなしのカメラベースのセンサー構成で、白い雪道をハンズオフでテスト走行するプロトタイプ車の動画なども紹介した。

マイコン市場シェア「2年連続首位」を強調するInfineon

 両社は2026年3月9日、将来のSUBARU車向けの制御統合ECUに搭載するMCUに関する協業を発表した。SUBARUは次世代アイサイトや、前輪駆動(AWD)制御を含む車両運動制御機能を統合したECUに、AURIX TC4xを搭載する。今回の共同プレゼンテーションは、この発表を受けたものだ。

 プレゼンテーションではまず、Infineonのオートモーティブチーフセールスオフィサー(CSO)であるPeter Schaefer氏が壇上に立ち、同社が車載半導体で世界シェアトップの「マーケットリーダー」であることを強調。さらに、同社が2025年に2年連続でマイコン市場世界シェアトップの座を維持したことも紹介した。

 なお、このシェアはInfineonが2026年3月10日、市場調査会社Omdiaの最新調査結果をベースとして発表したものだ。Infineonは2023年に車載マイコン市場で首位となったのに続き、2024年にはマイコン市場全体で初のトップとなっていた。そして2025年、マイコン市場が前年比0.3%減となる中で、Infineonがシェアを前年から1.8ポイント伸ばし23.2%で首位の座を維持したとしている。

Infineonがみる車載市場と競争力

Infineonのオートモーティブチーフセールスオフィサー(CSO)であるPeter Schaefer氏 Infineonのオートモーティブチーフセールスオフィサー(CSO)であるPeter Schaefer氏

 Infineonにとって自動車分野は売り上げ全体の半分を占める重要市場だ。

 Schaefer氏は同市場について、販売台数については「比較的平たんな推移」となる一方で、車載半導体の搭載量は大きく増加し、今後5年で約50%増加することが予測されていると紹介した。

 例えば2025年、内燃機関車(ICE)には1台で約750米ドル分の半導体が使用された一方、平均的なバッテリーEV(BEV)では1台1400米ドル分が搭載されていた。さらに2030年にはBEV1台で1600米ドル、ハイエンド車の場合は2000米ドル超に増加するとも予測されているという。この予測の背景となるのが電動化、先進運転支援システム(ADAS)および自動運転、そしてソフトウェア定義車(SDV)の発展だ。

車載半導体市場およびクルマ1台当たりの使用半導体価格予測について 車載半導体市場およびクルマ1台当たりの使用半導体価格予測について[クリックで拡大]

 Schaefer氏はこうしたADASやSDV分野に対し、Infineonはマイコンの他、センサーやコネクティビティ、電源などに至るまで「車載業界で最も幅広いポートフォリオを提供する企業だ」と説明。そして、マイコンについては柔軟なスマートセンシング向けの「PSOC」、ボディーコンフォートとグラフィックス用途向けの「Traveo」に加え、高機能でADASなどのセーフティクリティカルな用途に向けた「AURIX」の3つを展開していることを挙げた。

AURIX TC4xが実現するもの

 AURIXは「DSP」「RISC」「MCU/MPU」の3つの機能を統合したInfineonの独自CPUコア「TriCore」搭載の車載マイコンだ。AURIX TC4xは同社が2022年1月に発表した製品で、最新世代「TriCore v1.8」を採用し、最大動作周波数は最大500MHzと、前世代から約60%向上。「非常に高いリアルタイム性能を持ち、セキュアでセーフな性能を備えている。ゾーンコントローラー、ドメインコントローラー、安全コントローラーとしてクラス最高になるよう開発されたものだ」(Schaefer氏)としている。

 また、Schaefer氏はポスト量子暗号にも対応している点も強調。「アナリストによれば、2030年までに量子コンピュータが実用化され、現在のアルゴリズムは容易にハッキングされる可能性があるという。そのための解決策がポスト量子暗号への対応だ。これらの製品は2026年以降の車に採用されていくため、2030年代でも安全であることが重要だ」と語った。

 もう1つの重要なテーマとして挙げたのがコネクティビティだ。Schaefer氏は「新たな車両アーキテクチャでは、ゾーンコントローラー同士がイーサネットで通信し、中央ユニットと接続される。一方で、アクチュエーターやセンサーにはCANやLINを使用する。AURIX TC4xは、10Mビット/秒(bps)の低速イーサネットから最大5Gbpsのイーサネットまで対応している。また、CANとイーサネット間で情報をルーティングする非常に効率的なルーティングエンジンを備えている。これにより、新しい車両アーキテクチャの重要な基盤となる」と述べた。

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