米Intel社は、開発者向け会議「Intel Developer Forum 2010(IDF 2010)」(2010年4月13日〜14日に中国・北京で開催)で、組み込み機器向けのSoC(開発コード名「Tunnel Creek」)を開発中であることを明らかにした。同社は、Tunnel Creekを車載インフォテインメントやIP電話などの組み込み機器に向けて売り込む。
同社のコーポレート・バイス・プレジデントでエンベデッド・アンド・コミュニケーションズ・グループのゼネラル・マネージャーを務めるDoug Davis氏(図1)が、基調講演でこのSoCの詳細を説明した。
PCI Expressで他チップと接続可能
Tunnel Creekは、プロセッサ・コアに同社製の「Atom」を採用し、メモリ・コントローラやGPU(Graphics Processing Unit)、ビデオ・デコーダ、ビデオ・エンコーダなどを統合している(図2)。さらに、PCI Expressのインターフェースも統合している。組み込み機器設計者は、PCI Express経由でTunnel Creekとサード・パーティのチップを接続できる。
Intel社は、Tunnel Creekに向けてどの製造技術を使うか明らかにしなかった。複数の報道によると、Intel社はTunnel Creekに45nm製造技術を適用しており、消費電力は3Wと見られている。
設計の自由度はまだ低い
これまでIntel社のプロセッサは、同社独自のインターフェースを通して同社が製造するチップと接続する構成にしかできなかった。今回、PCI Express経由でサード・パーティのチップと接続できるようにしたことで、設計時の自由度が高まった。とはいえ、Tunnel Creekと接続するチップは「PCI Express」のインターフェースを持っていなければならない。ほかのインターフェース規格には対応しない。
Intel社はこのTunnel Creekを自社で製造する計画のようだ。顧客企業は、製造をファウンドリ企業には委託できない。しかも、Tunnel Creekの設計は固定されており、顧客が自らの知的所有権(IP:Intellectual Property)を組み合わせられないと見られている。このため、Tunnel CreekはSoCとしてはまだ設計の自由度が低いと言えるだろう。
Intel社は、今回のSoCを2010年第4四半期に発売する予定だ。Intel社がチップを発表する時期と、顧客企業向けに提供を始める時期は重なる傾向がある。このことから、同チップはサンプル出荷中であると推定できる。
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