テキサス・インスツルメンツは、2010年10月22日に報道機関向け事業説明会を開催し、同社の高性能アナログ(HPA:high performance analog)事業を強化する姿勢を改めて強調した。
高性能アナログとは、処理性能や精度の高さ、消費電力の低さを追求した同社の製品カテゴリである。登壇した高性能アナログ事業担当のワールドワイド・マネージャーであるSteve Anderson氏(図1)は、生産能力の強化や製品群の拡充といった観点から、同社の取り組みを説明した。
生産能力の強化については、スパンション・ジャパンから取得した福島県会津若松市の半導体製造拠点の活用方法や、中国の成都に製造拠点を2010年10月に開設したことなどを紹介した。
会津若松市の半導体製造拠点では、既存の200mmウエハー処理ラインを使い、2011年第2四半期までに生産を開始する。ほかの製造拠点で5年〜6年ほど前から採用している「HPA07」と呼ぶアナログ製造技術を使い、高精度アンプやコンバータ製品、タッチスクリーン用制御IC、温度センサーといったアナログ部品を製造する計画である。年間で10億米ドルに相当する半導体チップを生産する能力を有するという。
2009年には、300mmウエハーを処理可能なアナログ半導体製造拠点「RFAB(米国テキサス州)」や、組み立て/テスト工場(フィリピン)を立ち上げており、設備投資を強化していると説明した。2009年の設備投資総額は約8億米ドルで、2010年の設備投資の予定額は約12億米ドルである。
製品群の拡充については、「産業や医療、無線、民生といった広範な用途に向けて、幅広い製品群を有しており、これだけの製品群を有しているのは当社だけ。今後も継続して、高性能アナログの品種を拡充していく」(同氏)という。例えば、スマートメーターやLED照明、電動バイクといった、新たに立ち上がりつつある市場に向けた品種もすでに用意している。
日本テキサス・インスツルメンツの営業・技術本部のマーケティング/応用技術統括部の統括部長を務める山口康和氏(図2)は、日本市場への取り組みとして、2009年後半以降、営業拠点の増強を進めたことを紹介した。東京と名古屋、大阪の3拠点だったものを、計11拠点に増やした。地方の中小企業への営業活動を強化することが目的である。このほか、オンラインを使った半導体チップの小ロット販売や、日本の機器メーカーの海外展開の支援、アナログ回路技術に特化した技術セミナーの開催といった取り組みを紹介した。
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