固体素子照明(SSL:Solid-state Lighting)向けの半導体技術の開発に取り組む米国のBridgeluxは、Si(シリコン)基板にGaN(窒化ガリウム)を積層して作製したLEDで、135lm/W(ルーメン/ワット)の発光効率を達成したと発表した。同社はこのLEDを「GaN-on-Si LED」と呼んでおり、「シリコン基板を使ったLEDで商用化レベルの性能を実現した初めての成果だ」と主張する。ただし、この技術を適用したLEDの実用化については、まだ2年〜3年を要するとしている。
Bridgeluxは2002年の設立以降、ベンチャーキャピタルから約1億1000万米ドルの資金提供を受けている。
LED用のエピタキシャルウエハーのほとんどは、出発原料としてサファイヤまたはSiC(シリコン・カーバイド、炭化ケイ素)を使用している。しかし、口径の大きなサファイヤ基板やシリコンカーバイド基板はコストが高い上に、加工が難しい、入手性が低いという課題もあった。
そこで、これに代わる手法としてBridgeluxは、150mm、200mm、300mmの口径で入手できる低コストのシリコンウエハー上にGaN層をエピタキシャル成長させる技術を開発した。Bridgeluxは「この手法を採用すれば、コストを75%低減できる」と主張する。
今回は、直径1.5mmの単一のLED素子を350mAで動作させ、4730Kの相関色温度(CCT:Correlated Color Temperature)で135lm/Wの発光効率を達成した。350mA駆動時に必要な電圧値は2.9Vで、1A駆動時は3.25V以下になるという。
Bridgeluxは、直径200mmのシリコンウエハー上でエピタキシャル成長させるのに最適な材料を研究した結果、最初に商用化するSi基板LEDとして、GaN-on-Si LEDを選択した。2年〜3年後の実用化を目指す。
Bridgelux(同社ホームページへのリンク)のCEOを務めるBill Watkins氏は、「シリコンベースのLEDは、LEDのコスト構造を大幅に低減できる。この技術によって今後は、固体素子照明(SSL)に必要な先行投資を劇的に削減できるようになるだろう。業務用照明やオフィス照明、住宅や機器向け照明など、最も価格に敏感な市場では、今後2年〜3年以内にSSLへの置き換えが急速かつシームレスに進むだろう」と述べている。
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