アドバンテストは、ヴェリジーの発行済み普通株式の全てを、1株当たり現金15米ドルで取得する。買収総額は、およそ11億米ドルである。
アドバンテストとVerigy(ヴェリジー)は、買収に関する最終契約を締結したことを正式に発表した。アドバンテストは、ヴェリジーの発行済み普通株式の全てを、1株当たり現金15米ドルで取得する。買収総額は、およそ11億米ドルである。
日本に拠点を置く半導体の自動試験装置(ATE)の大手メーカーであるアドバンテストは、デジタルおよびロジックのATEへの取り組みを拡大する必要があった。ヴェリジーはデジタルおよびロジックのATEに強みを持つATEベンダーである。アドバンテストは、ヴェリジーを買収することで、デジタルおよびロジックの分野を強化できる。
なお、アドバンテストはロジックATEとして「T2000」を販売しているが、これはインテル以外に対しては期待外れの結果となっている。ヴェリジーは、同じくロジックATEとして「93000」を販売しているが、これは最盛期を過ぎつつある。今のところ、アドバンテストはT2000と93000の両方をサポートする予定である。
重複している分野もある。アドバンテストとヴェリジーは両社とも、メモリ・テスターを販売している。アドバンテストはDRAMとフラッシュメモリに強く、ヴェリジーはフラッシュメモリの分野に強い。得意とする分野の一部が重なっていることを意味する。
現在、ATEベンダーの多くは、ロジックやメモリ、その他の市場で勢いのあるテラダイン(Teradyne)を追いかけている。バークレイズ・キャピタルのアナリストであるC. J. Muse氏は、調査リポートの中で、「規制機関による承認時期のほか、フラッシュメモリと高速メモリ・テストの分野では特に、合併後に勝ち残るテスト・プラットフォームが、まだはっきりしない。今後、数カ月は、テラダインが、アドバンテストとヴェリジーから市場シェアを奪い、徐々にシェアを増加させるだろうと考えている。LTXクレデンスについては、事業モデルへの影響は限定的だろう。同社の核であるアナログ・ミックスドシグナル市場における主要な競合企業は、依然としてテラダインだからだ」と述べている。
既に報告されているように、ヴェリジーは競合企業であるLTXクレデンス(LTX-Credence)の買収に動いていた。
2010年末、アドバンテストがヴェリジーを買収するために、買収金額を提示した。その後、ヴェリジーの発行済み普通株式全てを1株当たり現金15米ドルで買収するという改定の提案を、ヴェリジーに提示した。このときの買収総額は、約9億米ドルと評価された。
ヴェリジーは、同社の取締役会において、保留されていたLTXクレデンスとの合併手続きに関する提案を取り下げた。
ヴェリジーはもともとアジレント・テクノロジーの事業部門の1つだった。数年前にアジレント・テクノロジーのATE事業がスピンアウトしてヴェリジーが誕生した。LTXクレデンスについては、ATE分野のライバル企業であったクレデンスシステムズ(Credence Systems)を、LTXが数年前に買収して生まれた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.