半導体産業の規模を見積もるにはさまざまな指標が使える。出荷金額の他、ウェハー面積も重要だ。なぜなら、半導体の9割以上はSi(シリコン)ウェハーを利用するからだ。2011年第1四半期のウェハー出荷面積は過去最大だった2010年と比べて増加傾向にある。
半導体関連の業界団体であるSEMIの一部門であるSilicon Manufacturers Group(SMG)は、2011年第1四半期における世界Si(シリコン)ウエハー市場の分析結果を発表した。リポートによると、第1四半期のSiウエハーの出荷面積は、2010年第4四半期からほぼ横ばいだという。
2011年第1四半期のSiウエハーの出荷面積は22億8700万平方インチで、2010年第4四半期の23億200万平方インチと比較し、約1%減少した。前年同期の2010年第1四半期と比べると、3%増加したことになる。
ドイツのSiウエハーメーカーであるSiltronicのバイス・プレジデントで、SMGのチェアマンを務めるウォルカー・ブレッシェ(Volker Braetsch)氏は、報道発表資料の中で、「2011年第1四半期のSi出荷動向は鈍化したが、これは第1四半期の季節変動としては典型的な動きである。Siウエハーの出荷面積自体は、2010年第1四半期を上回る結果となった。2010年のSi出荷規模が、過去最高だったことを考えると、今回の結果は、業界にとって明るい兆しといえる」と述べた。
一方、世界半導体市場統計(WSTS: World Semiconductor Trade Statistics)は、2011年第1四半期の半導体出荷額が、2010年第4四半期と比べ0.4%増え、2010年第1四半期と比べると8.5%増加したと発表した。SMGもリポートの中で、Siの平均販売価格(ASP:Average Selling Prices)が継続的に上がっており、2010年と比べても上昇している可能性を示唆している。
ただし、同じ期間を切り出してSiウエハーの出荷面積とSi出荷規模を比較することは正確な議論ではない。なぜなら、チップが出荷される3〜6カ月も前に加工前のウエハーがウエハー製造施設に送られて、スライス工程を通過するからだ。つまり、同期間のSiの出荷面積とチップの出荷規模(販売出荷額)を見ても、値は比例しない。
ウエハーの出荷面積は、研磨済みSiウエハーや未使用の試験用ウエハー、エピタキシャルSiウエハー、ウエハーメーカーがエンドユーザー向けに出荷する研磨されていないSiウエハーの合計値である。ただし、太陽電池向けに出荷されたSiウエハーは(半導体向けよりも低品質であるため)含んでいない。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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