iPad 2の初期段階の分解解析リポートでは、リバースエンジニアリング大手のUBM TechinsightsとChipworksの両社から2つの情報がもたらされていた(UBM Techinsights提供の情報を元にしたEE Timesの翻訳記事)(Chipworksの当該ブログ記事)。第1に、A5はA4に比べてチップサイズが大幅に大きい(図1、図2)。UBM TechinsightsもChipworksも、A5のベアチップの寸法を12.1mm×10.1mmとしており、面積は122mm2になる計算だ。A4は53mm2だった。すなわちA5のチップ面積は、A4の2.3倍も大きいことになる。
なぜこれほどまで劇的にチップサイズが拡大したのか。A4とA5のフロアプランを検証し、背景を探ってみよう。筆者は、Chipworksが報告した両チップのフロアプランを元に、検証を試みた(Chipworksの当該ブログ記事)。A5は、2個のARMコアを集積しており、2個合わせてチップの総面積の約14%を占める。一方でA4は、ARMコアを1個しか集積していないが、総面積に占めるコアの割合についてはA5とほぼ同じである。
グラフィックスコア(GPU)はどうだろうか? Chipworksが公表したA4のフロアプランでは、「GPU」と明示された回路ブロックは見当たらない。しかし、通常GPUは中規模のブロックであり、それなりの量のキャッシュを備えているので、候補は絞れる。CPUコアに次いで規模の大きな「Logic Core 4」か、あるいは「Logic Core 5」がGPUなのではないだろうか。ただ、Logic Core 5と同程度の規模の回路ブロックが他にもいくつかあることも読み取れる。議論を進めるため、ここではLogic Core 4がGPUだと仮定しよう。もしCPUとGPUの専有面積を足し合わせ、チップの総面積から差し引けば、残りは41mm2である。A4では、そこに他のデジタルブロックや、アナログブロック、I/Oブロックが詰め込まれているわけだ。
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