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ジャパンディスプレイが発足、「間接コストは1社分、企業価値は3社分以上に」ソニー、東芝、日立の中小型ディスプレイ事業を統合(1/2 ページ)

2012年4月1日、ソニー、東芝、日立の中小型ディスプレイ事業を統合した新会社のジャパンディスプレイが発足した。同社社長の大塚周一氏は、「間接部門のコストは1+1+1を1に、企業価値の向上については1+1+1を3以上にしたい」と語った。

» 2012年04月02日 17時51分 公開
[朴尚洙,@IT MONOist]

 ソニー、東芝、日立製作所の中小型ディスプレイ事業を統合した新会社であるジャパンディスプレイは2012年4月2日、東京都内で発足会見を開いた。

 ジャパンディスプレイの資本金は2300億円。出資比率は、官民ファンドの産業革新機構が70%、ソニー、東芝、日立製作所の3社がそれぞれ10%となっている。従業員数は6200人。事業統合前の3社の中小型ディスプレイ事業子会社であるソニーモバイルディスプレイ、東芝モバイルディスプレイ、日立ディスプレイズの2010年度(2011年3月期)の売上高を単純に合算すると5016億円となる。中小型液晶ディスプレイの世界シェアは約20%(2011年度末時点の推計)とトップに位置する。2015年度の売上高目標は7500億円。また、2015年度までの株式上場も計画している。

ジャパンディスプレイの大塚周一氏 ジャパンディスプレイの大塚周一氏

 ジャパンディスプレイの設立に当たっては、ソニーモバイルディスプレイ、東芝モバイルディスプレイ、日立ディスプレイズのいずれかを事業継承する形を取っておらず、新たな企業として設立された。ジャパンディスプレイ社長の大塚周一氏は、「2011年11月の正式合意から、ロケットスタートを合言葉に4カ月半という短い期間で新会社を立ち上げることができた。新会社として発足できたので、フラットかつスピーディな経営判断が可能な体制を構築できたと考えている。拡大の見込める中小型液晶ディスプレイ市場で、統合によるシナジー効果を発揮し、日本発のグローバルリーディングカンパニーとなることを目指す」と語る。

有機ELは2012年上半期にサンプル出荷

 スマートフォン向けを中心に需要が拡大している有機ELディスプレイについては、「既に、3社の有する技術を持ち寄って、開発の方向性は決めている。2012年の上半期中にデモンストレーションサンプルを発表し、2013年に事業化を判断したいと考えている」(大塚氏)という。

 事業統合によるシナジー効果については、間接部門のコスト削減と、企業価値の向上という2つの方向性を示した。大塚氏は、「間接部門のコストについては、1+1+1を1にしたい。3社の研究開発費と販売費および一般管理費(SGA)の投資比率は、台湾のディスプレイ企業と比べて10ポイントほど大きい。このうち、親会社との関係などによって増大していたSGAは適正な額まで削減したい。一方、企業価値の向上については、1+1+1を3以上に高めたいと考えている。そのためにも、2013年3月末までの1年間で、3社の事業を継続しながら、新会社としての新たな価値を発揮できるような体制構築を急ぐ」と意気込む。

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