ザイリンクスは、このFPGAの抱える課題を解決する技術「SDNet」(Software Defined Specification Environment for Networking)を開発した。
SDNetは、ひと言でいえば、高位合成ツールだ。SDNを設計するシステムアーキテクトがハードウェアに要求するレベルの記述から、HDL(ハードウェア記述言語)を自動でコンパイルし、FPGAに実装できるという。その記述量は、ASIC/ASSP設計時に記述するコード量の1/10以下とし、「HDLに精通するインプリメンテーションエンジニアの助けなしに、システムアーキテクト自らFPGAを設計できる」(コミュニケーションビジネスユニット ワイヤードマーケティングディレクターのGilles Garcia氏)とする。
こうした高位合成ツールの多くは、HDLベースで最適設計した回路に比べ、無駄が多い回路構成となる場合が多い。ただ、SDNetは、「SDNに特化して開発した技術であり、極めてオーバーヘッドは少ない。時間をかけて徹底的にHDLベースで最適化したものには劣るかもしれないが、通常のHDLベースで設計したものよりも、小さな回路で高い性能を発揮する」と言い切る。


左=「SDNet」を使用した場合の設計フローイメージ / 中央=「SDNet」による設計と従来のASSP(ASIC)設計との違い / 右=SDNを実現する各デバイス(ASSP/CPU)と「SDNet」を活用したFPGAの比較 (クリックで拡大) 出典:ザイリンクスまたSDNetを、FPGA開発環境「Vivad」と組み合わせて使用することで、既に開発済みの回路IPとの接続部の設計も自動で行える徹底して、設計の手間を削減できる。さらに、実装対象のFPGAに制限はなく、ハイエンドの「Vertexファミリ」からミドルエンドの「Kintexファミリ」、さらにはARMコア内蔵プログラマブルSoC「Zynqファミリ」から、必要な回路規模のデバイスを選択可能であり、コストも抑制できる。
現在、SDNetで生成可能な回路は、パケットプロセッシング関連回路が中心で、SDNのハードの全てをカバーしている訳ではないが、順次、柔軟性が要求される部分から対応領域を増やしていく方針。ただ現状の段階でも、「FPGAと、パケットプロセッシング用のASSPと併用した構成の機器は多い。SDNetにより、それらの機器の多くが、FPGAだけの構成に変わっていくだろう」(Garcia氏)としている。
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